<2023年の入管法改正>
2023年の入管法改正のポイントは以下のとおりです。
- 送還停止効の例外規定の創設
- 罰則付き退去命令制度の創設
- 収容に代わる監理措置制度の創設
- 「補完的保護対象者」認定制度の創設
- 在留特別許可の申請手続の創設
このうち、4については、既に昨年12月1日に改正法が施行されています。(“難民”と同等の支援策 日本語教育や生活費の支給も「補完的保護」適用者への支援策発表 出入国在留管理庁)
本稿では#5について述べてみたいと思います。
<在留特別許可の申請手続の創設>
本ブログ「家族一体で在留を特別に許可することができることとなります」との8月法務大臣会見について」において、会見で発言された内容は既に許可事例として実績があるのに、これから在留特別許可を与えるようにしますとはどのような意味なのだろうか?というコメントをしました。
また、在留特別許可は、入国審査官の審査、特別審理官の口頭審理、そして異議の申出に対する法務大臣の裁決という退去強制手続の三審制において、異議の申出に対する法務大臣の裁決に際して、異議の申出に理由がないとしても特例として法務大臣が出すことができるとされるもの(上記ブログ参照)であり、異議申し立てして頂ければ与えるようにします、ということに釈然としなかったのです。
恥ずかしながら、上記ブログを書いた時点で、入管法改正の上記#5の部分を忘れていました。
在留特別許可の申請制度の創設趣旨については、第211回国会 法務委員会 第11号(令和5年4月19日(水曜日))における下下記の説明がわかりやすいと思います。
”在留特別許可について、三審制の違反審判手続の最終段階、法務大臣の裁決のところでこの判断がされますので、事実に争いがない場合でも、不服申立てを重ねないと在留特別許可が得られないという構図になっています。これに対して改正法では、(略)、手続中、随時在留特別許可の申請が可能となります。三審制の満了を待たずに在留特別許可を得られることになりますので、在留を認めるべき者は迅速に在留が認められるということになります。”
<どのような手続きになるのか>
在留特別許可に至る退去強制手続は上記三審制を含め概ね以下のようなステップを辿りますが、最後の法務大臣の裁決までを待たずして、おそらく、収容(仮放免含む)の段階から、許可申請を行うことができるようになるものと解されます。
- 入国警備官の違反調査(以降容疑ありの場合)
- 収容(仮放免含む)
- 入国審査官の違反審査(以下異議ありの場合)
- 特別審理官の口頭審理(以下異議ありの場合)
- 法務大臣の裁決
8月の法務大臣会見や、それを受けてのメディアの説明も、下記のようなものだったら、もっとわかりやすいのに、と思った次第です。
「当該事例(家族一体で、、、)についての在留特別許可はこれまでも出してきましたが、2023年の入管法改正により、退去強制手続の対象となる容疑を受けた外国人の方は、収容(仮放免)された段階から、在留特別許可の”申請”ができるようになりますので、法務大臣の裁決まで不安定な状態(収容/仮放免)が続くような状況は改善されます。」
因みに”収容(仮放免)された段階から”としましたが、あくまで想定です。具体的にどの段階からはまだはっきり把握できておりません。施行規則が明らかになるまでわからないかもしれません。(当制度含め、冒頭#4以外は令和6年6月までに施行予定とされています。)
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