大阪では、熟練外国人労働者として永住可能な在留資格「特定技能2号」の対象業種が拡大され、「関西企業の外国人材雇用の機運が高まっている」(外国人の転入が日本人を上回った大阪市 増加数は全国最多 〝選ばれる街〟の理由とは 2025-08-07 産経新聞)とのこと。あらためて「特定技能2号」の要件を整理しておきます。

1. 制度の趣旨と概要

「特定技能2号」は、日本の深刻な労働力不足に対応するため、熟練した技能と実務能力を有する外国人労働者に与えられる在留資格です。
「特定技能1号」と比較して以下のような特徴があります:

  • 在留期間の上限がなく更新可能(1号は通算5年まで)
  • 家族(配偶者・子)の帯同が可能(1号は基本不可)
  • 永住権取得要件を満たす可能性がある(長期的に日本に滞在しやすい)
  • 支援計画の策定・実施は不要(1号では必須)

現在の対象分野は11業種で、介護分野は除かれています(対象外の理由は、介護には別の移行ルートが用意されているため)。対象分野には建設、造船、製造、農業、漁業、宿泊、自動車整備、航空、ビルクリーニング、飲食料品製造、外食業が含まれます。


2. 共通的な基本要件

制度として、以下のような共通要件があります:

  1. 年齢・健康条件
    • 18歳以上であること(入国時点で満18歳以上)
    • 健康状態が良好であり、申請者が日本で就労可能な健康診断書を提出すること(結核スクリーニング含む場合あり)
  2. 技能の証明
    • 分野ごとの「特定技能2号評価試験」に合格、または技能検定1級を取得することで、熟練技能を持つことが証明される必要があります。
  3. 実務経験(管理・指導経験)
    • 班長・職長・監督者などのリーダー的立場として、複数作業員の指導・工程管理等の経験が必要です。分野により、2年~3年以上の経験が求められています。
  4. その他の基本条件
    • 退去強制時の協力が見込める外国政府発行の有効な旅券を所持していること。
    • 保証金徴収、財産管理、違約金の契約をされていないこと。
    • 費用負担について申請者の同意があること、送出し国手続の順守があること等も含まれます。
    • 元技能実習生である場合は、本国への技能移転に努めることが求められます。
  5. 日本語能力
    • 基本的に日本語試験は不要とされていますが、漁業や外食業など一部の分野では JLPT N3 過去の合格が求められることがあります。

3. 分野別要件の詳細

以下に、主な分野ごとの技能試験と実務経験の具体例をまとめます:

建設業

  • 「建設分野特定技能2号評価試験」または技能検定1級に合格すること。
  • 班長または職長として、複数の技能者を指導し工程管理した実務経験が必要。
    • 能力評価基準(レベル3相当)または、職長+班長で合計645日(約3年)以上。

ビルクリーニング

  • 「ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験」または技能検定1級。
  • 清掃現場で複数作業員を指導・管理した経験を2年以上。

農業(耕種・畜産)

  • 「2号農業技能測定試験」に合格。
  • 耕種または畜産で、複数従業員を指導し管理した実務経験が2年以上、または現場経験3年以上。

漁業(漁業・養殖)

  • 「2号漁業技能測定試験」に合格。
  • 漁船での作業指導・工程管理経験2年以上。
  • 日本語能力試験N3合格が必要。

飲食料品製造業

  • 「飲食料品製造業特定技能2号技能測定試験」に合格。
  • 作業員を指導・工程管理する実務経験を2年以上。

外食業

  • 「外食業特定技能2号技能測定試験」に合格。
  • 副店長やサブマネージャーとして、複数アルバイト・技能者を指導・監督し店舗管理を補助した2年以上の経験。
  • 日本語能力試験N3以上合格が必要。

自動車整備

  • 「自動車整備分野特定技能2号評価試験」または整備士技能検定2級に合格。
  • 認証工場での実務経験が必要。

その他の分野(製造・宿泊等)

  • 製造業では「製造分野特定技能2号評価試験」+ビジネス・キャリア検定3級、または技能検定1級。加えて国内製造業現場での実務経験3年以上。
  • 宿泊分野では、評価試験合格と、複数従業員を指導しながら従事した実務経験2年以上。

4. まとめ・補足

「特定技能2号」の取得要件は、主に以下の3つに絞られます:

  1. 分野ごとの評価試験合格または技能検定1級取得によって熟練技能の証明。
  2. 監督・指導・管理経験を伴う実務経験(多くの分野で2–3年以上)。
  3. その他、年齢・健康状態・旅券・保証金未徴収・日本語能力(分野による)といった基本要件。

これらを満たせば、特定技能1号を経ずに直接「特定技能2号」を取得することも可能であり、長期滞在や家族帯同、永住への道が開ける資格です。

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投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。