1)記事の内容

不法就労助長の疑い 浜松の飲食店 管理者とフィリピン国籍女逮捕(2024/01/12:静岡新聞)によれば、浜松市内の飲食店でフィリピン人の女3人を不法に就労させたとして、入管難民法違反(不法就労助長)の疑いで浜松市中央区増楽町、社交飲食店従業員(55)を、同法違反(資格外活動)の疑いで同法違反(資格外活動)の疑いでいずれも同区増楽町に住むフィリピン国籍の20~30代のダンサーの女3人を逮捕した、とのこと。

“「興行」資格で在留しているダンサーの女3人を、接待など資格外の活動に従事させた疑い。合同捜査本部によると、容疑者は営業管理者として従業員の送迎などを担当していた。ダンサーの女3人の逮捕容疑は同年11~12月の間、資格外活動の許可を受けていないにもかかわらず、接待などを行うホステスとして複数回稼働し、報酬を受けた疑い。”と続きます。

2)不法就労、不法就労助長罪についての入管庁からの説明

不法就労、及び不法就労助長罪の説明は、下記入管庁の説明をご覧ください。

不法就労と不法就労助長罪

3)資格外活動には要件がある。

まず、資格外活動とは、外国人が付与された在留資格に定められた活動以外の、収入を得る活動を意味します。

日本に在留するにあたっては、一つの在留資格しか持つことができません(一在留一在留資格の原則) ので、資格外活動を行うためには、資格外活動許可を得る必要があります。(日本人の配偶者等の身分系在留資格には活動の制限はありません。)

資格外活動の典型例は、「留学」「家族滞在」の在留資格を持った人が、アルバイトを行う場合です。この場合、週あたり28時間までであれば、雇用先に変更があってもその都度申請を行う必要はありません。(包括許可と呼びます。)

それ以外にも例えば以下のような例が考えられます。

  • 在留資格「興行」で来日した演奏家がコンサートの合間に大学で講演会を行い報酬を得る。(大学での講演会は「芸術」に当たります。)
  • 在留資格「文化活動」で、陶芸の修行のため在留している外国人が、コンビニでアルバイトとして働く。

さて、資格外活動には要件があり、特に以下のような活動は認められません。

  • 法令(刑事・民事を問わない)に違反すると認められる活動
  • 風俗営業若しくは店舗型性風俗特殊営業が営まれている営業所において行う活動又は無店舗型性風俗特殊営業,映像送信型性風俗特殊営業,店舗型電話異性紹介営業若しくは無店舗型電話異性紹介事業に従事して行う活動

冒頭の記事にある、接待を行うホステスは風俗営業において行う活動にあたりますので、資格外活動の許可を受けていないにもかかわらず、とありますが、この場合、そもそも資格外活動の許可は受けられません

4)故意でなくとも、不法就労助長罪は成立する。

不法就労をさせたり、あっせんした者には不法就労助長罪として、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられます。

冒頭の事例のようにあからさまな故意によるものでなかったとしても、在留カードの確認をしていない等の過失があった場合でも同罪が成立するということです。

雇用者が、在留カードの確認をするから過失が無いということは以下を意味します。

  • 自分の会社の仕事をするにあたって、正しい在留資格を保持しているので、不法就労とはならない。
  • 付与された在留資格の活動以外の領域において副業を認めている場合、在留カードの裏面で資格外活動の確認をするから、不法就労とはならない。

一方、雇用者に黙って外国人が資格外活動をしている場合はどうでしょうか?

雇用者がこれを把握することは困難であるため、過失を問われるケースは想定し難いですが、同罪に問われる余地を無くすため、以下のような内容を雇用契約あるいは誓約書等に含めるべきと思われます。

  • (副業を認めない場合は)会社の業務以外に報酬を得る活動を行わないこと
  • (副業を認める場合は)会社の業務以外に報酬を得る活動を行う場合、その内容を会社に報告すること。
  • 資格外活動として認められない風俗営業等の副業を絶対に行わないこと。

入管・在留関連ニュース

投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。

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