原則

在留資格認定証明書交付申請は、日本国内にいる”代理人”が、日本に入国しようとする外国人に代わって行うことができます。在留資格毎にどのような人が代理人になることができるかどうかは、入管法施行規則別表第四に記載されています。(在留資格認定証明書交付申請における代理人とは)ただ、例外もあり、在留資格によっては、代理人が定められないものもあり、その典型が「特定活動」になります。

特定活動

上記、入管法施行規則別表第四において、特定活動の代理人については以下のように定められています。

本人が所属して法務大臣が指定した活動を行うこととなる機関の職員、本人を雇用する者又は法務大臣が指定する活動に則して法務大臣が告示をもつて定める者

特定活動については、告示類型と告示外類型というものがあります。そもそも、特定活動は、活動の内容別に定められる在留資格のうち、いずれにも該当しないものをカバーするために定められた在留資格であり、そのうち予め告示という形で具体的に定められた各活動を「告示類型」と呼んでいます。

具体的には、出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件(以下、告示PDF) の中で 現在57号まで定められています。(既に削除されたものとして欠番があります。)告示外類型については、またどこかで触れたいと思います。

根拠条文が無い。。。

各号について、代理人設定の有無、又代理人について設定がある場合、どのような者が代理人として認められているのか、告示PDFを目を皿にして眺めてみましたが。どの号も代理人について言及していません。

他の告示がどこかにあるのかと思い、ネット検索にて探しまくりましたが見つけられません。何と、根拠条文が無い(或いは公開されていない)のです。

例えば、25号、40号、53号を例にとります。

通称代理人
25医療滞在
40観光・保養
53デジタルノマド

25号「医療滞在」は代理人が定められていますが、40号「観光・保養」、53号「デジタルノマド」は代理人が定められていません。(25号は出入国在留管理庁のホームページに記載されていることから明らかで、40号、53号は、ホームページに記載されておらず、かつ、一般に公開されていない、出入国在留管理庁のマニュアルともいえる「審査要領」から読み取ることができます。)

つまり、告示番号毎の代理人設定有無を一覧で明らかにする根拠条文が無い(弊事務所調べでは、法律、施行規則、省令及び告示の何れも無いはず)のです。

代理人が定められていない場合の手続

代理人が定められているかどうかというのは重要な意味を持ちます。代理人が定められていない在留資格については、申請人(外国人本人)が、日本国内にいないと在留資格認定証明書交付申請を行うことができないからです。

このことは、短期滞在で入国した外国人が、在留資格認定証明書を取得し、さらに、この証明書を根拠として、在留資格変更許可申請を行うことが予定されていることを意味します。

本来、在留資格認定証明書は、海外にいる外国人が入国するために必要なものです。又、短期滞在からの在留資格変更許可申請は”やむを得ない場合を除き”認められず、在留資格認定証明書を持っていることで”やむを得ない場合”とみなされるという、変則的な運用が行われています。

わかりにくいですが、結論を改めていうと、代理人が定められていない特定活動の告示活動(※)は、いったん短期滞在で入ってから在留資格認定証明書交付申請をして、それから在留資格変更許可申請をする必要がある、ということです。

※在留資格認定証明書交付申請が用意されているものに限る。

一覧を作りました

そこで、特定活動の各告示が代理人を定めているかどうかを一覧にしておきました。

告示の通称代理人設定有無
1家事使用人(外交・公用)有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
2家事使用人(家庭事情型、入国帯同型、高度金融人材優遇型)有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
3台湾日本関係協会職員及びその家族有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
4駐日パレスチナ総代表部の職員及びその家族有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
5ワーキングホリデー有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
6アマチュアスポーツ選手有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
7アマチュアスポーツ選手の家族有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
8国際仲裁代理不明
9インターンシップ有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
10英国人ボランティア有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
11(削除)
12サマージョブ有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
13大阪・関西万博関係者有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
14大阪・関西万博関係者の配偶者等有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
15国際文化交流有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
16~24二国間の経済連携協定(EPA)看護師・介護福祉士関係家族について有(入管HP記載)
25医療滞在有(入管HP記載)
26医療滞在同伴者有(入管HP記載)
27~31二国間の経済連携協定(EPA)看護師・介護福祉士関係家族について有(入管HP記載)
32外国人建設就労者有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
33高度専門職外国人の就労する配偶者,特別高度人材外国人の就労する配偶者有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
34高度専門職外国人又はその配偶者の親有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
35外国人造船就労者有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
36特定研究等活動有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
37特定情報処理活動有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
38特定研究等活動家族滞在活動有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
39特定研究等活動等の対象となる外国人研究者等の親有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
40観光・保養無(審査要領に記載)
41観光・保養の配偶者無(審査要領に記載)
42製造業外国従業員受入事業における特定外国従業員有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
43日系4世有(日系四世受入れサポーター)
44外国人起業家不明
45外国人起業家の配偶者等不明
46本邦大学卒業者(大卒特活)有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
47本邦大学卒業者の配偶者等有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
48(削除)
49(削除)
50スキーインストラクター有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
51未来創造人材外国人不明
52未来創造人材外国人の配偶者等不明
53デジタルノマド無(審査要領に記載)
54デジタルノマドの配偶者等無(審査要領に記載)
55自動車運送特定技能の準備有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
56国際園芸博覧会関係者有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)
57国際園芸博覧会関係者の配偶者等有(明確な規定はないが、おそらく当該外国人を受け入れようとする機関の職員として)

なお、デジタルノマドについては、かなり特殊な運用が行われていますので、別の記事にて紹介します。

在留・入管関連ニュース

投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。