令和5年入管法改正内容の全てが施行

今年の初め、当ブログの投稿「在留特別許可「申請制度の創設」において述べたとおり、今月10日をもって、令和5年入管法改正内容の下記全てが施行されることとなりました。

  1. 送還停止効の例外規定の創設
  2. 罰則付き退去命令制度の創設
  3. 収容に代わる監理措置制度の創設
  4. 「補完的保護対象者」認定制度の創設
  5. 在留特別許可の申請手続の創設

難民認定申請3回目以降の外国人が退去強制の対象者となることを意味する上記#1が専ら話題となっていますが、上記#5も大きな変更点です。

在留特別許可申請制度創設の趣旨と手続内容

従来、在留特別許可は、入国審査官の審査、特別審理官の口頭審理、そして異議の申出に対する法務大臣の裁決という退去強制手続の三審制の最終段階において、異議の申出を行うことで得られるものでしたが、今回の改正において、下記、何れかのタイミングにおいて「申請」を行うことができるようになりました。 

  •  収容令書により収容されたとき(仮放免許可を受けている場合を含む)
  •  監理措置(※)に付されたとき

※監理措置とは、冒頭#3で記載した、今回の法改正で新しく創設された制度であり、「監理人による監理の下、逃亡等を防止しつつ、相当期間にわたり、社会内での生活を許容しながら、収容しないで退去強制手続を進める措置」とされています。

申請手続については、入管庁ウェブサイトに新しくホームページ(「在留特別許可申請」)が設けられています。申請書のフォーマット自体は大変シンプルなものですが、実務の観点からは、提出する資料の「当該事情を証する資料」の揃え方が、従来通り大変重要となります。

ガイドラインも併せて施行

併せて在留特別許可のガイドラインも改訂されています。当ブログの投稿「難民と在留特別許可」(2024/3/12)でも述べましたが、新ガイドラインにおける変更点は、法務大臣が在留特別許可を与えるか否かの判断に際して、人道上の配慮の必要性の観点から考慮しなければならない理由として、当該外国人が、難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けていなくとも、その本国における情勢不安に照らし、当該外国人が帰国困難な状況があることが客観的に明らかであること が追加されたことです。

まとめ

難民認定申請3回目以降の外国人を退去強制とすることについて、人権上の観点から様々な批判があります。本来、保護すべき外国人の方が退去強制とならないよう、退去強制手続の最初の段階(収容・仮放免・監理措置開始の段階)から、本制度を利用すべきといえます。

逆に在留特別許可制度を利用しないことが、難民認定申請3回目以降が、難民認定制度の濫用にあたることの証左である、と捉えられかねません

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投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。

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