認定リセットは万病の薬ではない?

当ブログの記事「認定リセットは万病の薬?」において、既に日本に在留している方々の在留資格変更許可申請(以下「変更」)や、在留期間更新許可申請(以下「更新」)の審査においては、過去の在留状況が厳しく審査されるが、在留資格認定証明書交付申請(以下「認定」)の場面では、そのようなことはないので、在留状況が芳しくない方は、いったん出国してから、「認定」の申請をするルールになっている、ということを述べました。

同記事でも述べましたが、そのルールに疑問がつくような場面に他でも遭遇しました。

技能実習生の再来日

在留資格の変更が認められないケース:技能実習から就労系資格への変更② では、実習を終えた技能実習生が「技術・人文知識・国際業務」への在留資格の変更を申請したが認められなかった顛末をご紹介しました。

その後、この方はいったん母国へ帰り、改めて「認定」の申請中ですが、なんとこの申請について、入管から、「帰国後」の活動について説明するよう指示があったのです。

技能実習制度は、母国への知識・経験を還元することが趣旨なので、それに沿った就労活動・就職活動をしているかを入管が聞こうとしていることは理解できます。(もうすぐ育成就労にかわりこの趣旨は完全に廃止されますが。。。)

ただ、冒頭述べたとおり、「認定」の場面で、なんと「帰国後」の、いわば”在留後の状況”を審査されるのは驚きでした。

入管政策の変更?

さらに、医療費未払い、入国審査を厳格化 外国人、保険料未納対策も強化 政府 (時事通信 2025/6/6)の記事を以下に要約します。


政府は6日、「外国人材の受け入れ・共生に関する関係閣僚会議」で総合的対応策を改訂し、新たに医療費や社会保険料の未払いに関する入国・在留審査の厳格化を打ち出した。具体的には、過去に医療費を支払わなかった外国人観光客については入国を拒否し、中長期の在留者に対しても未払い歴がある場合は在留資格の審査を厳しくする。また、社会保険料を滞納した外国人には在留資格の更新を認めない方針である。政府はこれにより、未払いの再発を防ぎ、制度の適正運用を図る狙いがある。

”中長期の在留者に対しても未払い歴がある場合は在留資格の審査を厳しくする”とあります。これは

  1. 「変更」「更新」の際に審査材料となる在留状況に保険料の納付状況を加える
  2. 「認定」の際に、以前の在留状況の一部をなす、保険料の納付状況を審査材料に加える

のどちらなのでしょうか。

1は、在留資格によっては既に実施されています。(「技術・人文知識・国際業務」などでは住民税の支払状況は見るが保険料の納付状況は見ない一方で、「特定技能」では保険料の支払状況を審査している)

記事の文脈からいえば、2の可能性の方が高く、この意味では、ますます「認定リセット」を当てにはできないようになってきていると思われます。

在留・入管関連ニュース

投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。