当ブログ記事「外国人の生活保護について」で述べた、ガーナ国籍の原告が生活保護申請の却下取り消しと保護開始を千葉県に対して求めた裁判の地裁判決(2024/01/16 原告敗訴)の控訴審判決が8月6日東京高裁であり、原告の請求は1審判決同様、棄却されたのこと。(ガーナ人男性の「生活保護」、控訴審も認めず…原告側「冷酷な判決だ」:2024/08/06 弁護士ドットコム)
日本国政府の立場
外国人は生活保護法の適用対象とならないものの、生活保護を付与することについては、昭和29年の厚生省(当時)の通知により、一定の条件のもとにこれを認める地方自治体の運用が現在でも続いています。
又、1990年の入管難民法改正を機に旧厚生省係長による口頭通知が出され、「永住・定住などの資格を持つ外国人に限る」とされているとのこと。(「働けなくなったら見捨てる? 急増する在留外国人に「生存権の保障」の司法判断は 労働で社会を支える一員」:2024/01/15 東京新聞)
最高裁の判決
2014年7月に、永住外国人は生活保護法の適用対象である国民に含まれないとの判決が最高裁により出されています。(永住外国人の生活保護認めず 最高裁が初判断 2014/07/18)
ただ、このことは「生活保護法」の対象であるか否かについての判断であり、外国人に生活保護を与えるべきでないということを意味しないのであって、実際には生活保護を外国人に与える運用は自治体で行われています。
まとめ
記事の男性は、在留資格:留学から就労系の在留資格に変更し働いていたが慢性腎不全となり失職、在留資格を特定活動(医療滞在)に切り替えて週3回の透析を受けながら(母国での透析は富裕層でしか受けられない)現在に至っている状態とのこと。
就労系の資格で日本に来ている場合は、就労することができなくなれば速やかに帰国頂くことが原則であるので生活保護の対象としないことは尤もと思います。
ただ、日本で働き住民税と所得税を納める以上は、社会福祉の観点から受益する部分があってもいい筈であるし、母国で治療が受けられないなどの事情がある場合は、一定の保護が与えられるべきなのではないかなと思っています。