共同通信の記事

旅券提示強要し宿泊拒否、提訴へ 神戸の在日コリアン女性(2025/5/13 共同通信)の記事を以下に要約します。

神戸市在住の在日コリアン3世の女性大学教員が、東京都内のホテルで旅券や在留カードの提示を求められ、拒否したところ宿泊を断られたとして、精神的苦痛を受けたとし損害賠償を求めて神戸地裁に提訴する方針を明らかにした。

旅館業法では、旅券の提示義務は「国外在住の外国人」に限られており、在日外国人には法的義務はない。女性は特別永住者であり、提示義務のある書類は持っていなかった。

全国では、名前や外見を理由に不適切に在留カード提示を求められるケースが相次いでおり、香川県は2023年に「人権上問題がある」として注意を促している。女性は「これは差別であり、社会問題として訴えたい」と語っている。

提示義務はあるし、パスポートか在留カードのどちらかを見せればよいというものではない

”旅館業法では、旅券の提示義務は「国外在住の外国人」に限られており、在日外国人には法的義務はない。”という表現が誤解を生みます。

入管法第23条によれば、我が国に在留する外国人は,旅券又は各種許可書を携帯し,権限ある官憲の提示要求があった場合には,これを提示しなければなりません。そして、ただし,中長期在留者には在留カードの受領,携帯義務が課されており,中長期在留者が在留カードを携帯する場合は,旅券の携帯義務は課されません。

ですので、正しくは、”在留カードが発行されている人は在留カードを、そうでない人は旅券を必ず携帯し、警察や入国警備官から提示を求められたら提示しなければいけない。”が正解なのです。

警視庁のホームページが、”外出するときは、旅券又は在留カードを必ず携帯してください。”と書いているのも誤解を呼ぶ旨の記事を、私のホームページで述べました。この記載を変えてくれるよう警視庁の問い合わせページにポストしましたが、対応してくれていないようです。

旅館の従業員に求められても見せる必要はありませんが、警察官や入国警備官などに提示を求められたら、中長期在留者(3か月を超える在留期間が与えられ、在留カードを発行されている者)は在留カードを、中長期在留者以外の者は旅券(パスポート)を提示する義務があり、これに違反すれば刑事罰が科される可能性があります。

在留・入管関連ニュース

投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。