日本で介護職として在留資格を取得し就労することは、アジア各国の労働者にとって多くのメリットがあります。その理由は、経済的な恩恵、キャリアアップの機会、日本の介護スキルの習得、日本の社会保障制度の利用など、さまざまな側面から説明できます。以下では、具体的な事例も交えながら、そのメリットについて詳しく述べます。

1. 経済的メリット

アジア各国の労働者にとって、日本での介護職の就労は大きな経済的メリットがあります。日本は経済的に先進国であり、賃金水準も高いため、アジアの新興国や発展途上国と比べると、介護職の給与は相対的に高く設定されています。例えば、フィリピンやベトナム、中国などの国々では、介護職に従事しても現地の平均賃金は低く、家族を養うのに十分な収入を得るのが難しいケースがあります。

一方で、日本の介護職の給与は、平均して月収20万円から25万円程度です。日本での生活費を差し引いても、送金により母国にいる家族の生活を支えることができるため、アジア各国の労働者にとっては魅力的な就労先となっています。実際、フィリピンの労働者が日本で介護職に就いて得た収入を母国に送金し、子供の教育費や家族の生活費に充てている例が数多く見られます。

また、日本政府は介護職の処遇改善に取り組んでおり、賃金の引き上げや手当の充実を進めています。これにより、介護職の労働者にとって、将来的にも安定した収入が期待できる点は大きなメリットです。

2. キャリアアップと技術習得の機会

日本の介護現場では、質の高い介護技術や知識を学ぶことができます。日本は高齢化社会が進んでおり、介護の技術やサービスに関して先進的な取り組みが行われているため、他国の介護現場とは異なる高度なスキルや経験を得られます。例えば、日本では利用者の尊厳を重視したケアが実践されており、認知症ケアやリハビリテーションの方法、福祉用具の使用など、多岐にわたる専門的な知識が求められます。

アジア各国の労働者にとって、日本での介護職の経験は、母国に帰国した際のキャリアアップにもつながります。日本で取得した介護技術や知識は、母国の介護施設や福祉サービスで高く評価されるため、帰国後に介護の専門職としてリーダー的な役割を担うことができます。例えば、ベトナムから日本に技能実習生として介護職に就いた後、母国に戻って介護施設のマネージャーやトレーナーとして活躍しているケースが報告されています。日本での実務経験を通じて、介護業界でのキャリアパスを開拓できるのは、アジア各国の労働者にとって大きなメリットです。

3. 日本の介護資格の取得

日本の介護職に従事するアジア各国の労働者には、介護福祉士などの日本の国家資格を取得する機会が与えられます。日本の介護福祉士資格は、介護分野での専門的な知識と技術を持つことを証明するものであり、国際的にも高い評価を受けています。資格を取得することで、就労の幅が広がり、安定した雇用や給与の向上が期待できます。

例えば、フィリピンから来日した介護職の技能実習生が、日本での経験を積んだ後に介護福祉士の試験に合格し、正社員として日本の介護施設に就職するケースが増えています。介護福祉士の資格を持つことで、施設内での責任あるポジションに就くことができるだけでなく、母国に帰国した際にも高い評価を受け、現地での福祉サービスの発展に貢献することができます。

4. 日本の社会保障制度の利用

日本で就労する外国人労働者も、日本の社会保障制度を利用することができます。具体的には、健康保険や年金制度などが挙げられます。健康保険に加入することで、病気やけがをした際の医療費の負担が軽減されるため、安心して働くことができます。また、年金制度に加入することで、将来的に年金を受け取る権利を得られるため、老後の生活を支えるための準備ができます。

さらに、技能実習生や特定技能で来日している外国人労働者にも、最終的に介護福祉士の資格を取得し、在留資格「介護」にて就労すれば、家族を日本に呼び寄せることができます。家族と共に日本で生活できることで、労働者にとっての精神的な安心感やモチベーションの向上にもつながります。

5. 日本語の習得と異文化体験

日本での就労を通じて、日本語のスキルを向上させることができる点も、アジア各国の労働者にとって大きなメリットです。日本の介護現場では、利用者やその家族とのコミュニケーションが重要であり、日本語能力が求められます。日本語の習得は、日常生活や仕事でのコミュニケーション能力を高めるだけでなく、将来的なキャリアにもプラスとなります。日本語が堪能であれば、日本国内の他の職種への転職や、母国での日系企業への就職など、幅広い可能性が開けます。

また、日本での生活を通じて異文化を体験することも、アジア各国の労働者にとって貴重な経験となります。日本の社会規範やビジネスマナー、労働環境に触れることで、異なる価値観や働き方を学ぶことができます。このような経験は、帰国後の自身のキャリアにおいても役立つだけでなく、異文化理解を深めることで国際的な視野を広げることにもつながります。

6. 長期的な安定性と将来の可能性

日本政府は、高齢化に伴う介護人材不足に対応するため、外国人労働者の受け入れを積極的に進めています。特定技能制度や技能実習制度を活用することで、アジア各国の労働者が日本で長期間働くことが可能となり、安定した生活基盤を築くことができます。在留資格「介護」の取得を目指すことで、長期的に日本での就労と生活が可能となり、より安定した将来を見据えることができます。

また、日本での経験を活かして、将来的に介護ビジネスを起業したり、介護に関する教育・研修活動を行ったりすることも可能です。例えば、ベトナムから日本での介護経験を持ち帰り、現地で介護施設を設立したり、日本式の介護研修を提供する企業を立ち上げたりするケースも見られます。

まとめ

以上のように、日本で介護職として在留資格を取得し就労することは、アジア各国の労働者にとって経済的なメリットだけでなく、キャリアアップの機会、専門的な技術習得、日本語スキルの向上、社会保障制度の利用、異文化体験など、多くのメリットがあります。これらの経験は、帰国後のキャリア形成や家族の生活向上にも大いに役立つため、日本での介護就労はアジア各国の労働者にとって非常に魅力的な選択肢となっています。

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投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。