一昨日に投稿した本ブログ記事「不法入国と不法上陸の違い」に、”不法残留”と”出国命令”の定義を追加しておくことにしました。

改めて、入管法における、

”不法入国”、”不法上陸”、”不法残留”

”退去命令”、”退去強制手続”、”出国命令”

の定義を理解しておきます。

不法入国、不法上陸、不法残留

三つの言葉の定義は以下のようになります。

上陸審査の結果、上陸を拒否されるケースは、不法入国でも不法上陸でもありません。「退去命令」が出され本国に送還されます。

不法入国パスポートや査証(※)を保持することなく、日本の領空・領海に入ること
※査証免除国を除く。
不法上陸パスポートや査証を持っていようがいまいが、上陸審査を受けることなく、日本の陸地に入ること。
不法残留在留期間の更新や在留資格の変更を受けることなく、在留期間を過ぎてなお、日本に滞在すること。

この意味で、冒頭記事のいう、”不法入国して退去命令”という概念は成り立たないのです。当該外国人は、上陸拒否事由に該当し、上陸を拒否され、退去命令を受けたということであり、違法行為ではありません。

なお、パスポート、査証を持たずして”上陸”した場合は、”不法上陸”ではなく、”不法入国”という扱いになります。

退去命令と退去強制(令書の発布)

似た言葉として、退去命令、退去強制及び出国命令がありますが、入管法上の意味合いは以下になります。

言葉意味上陸拒否期間
退去命令あくまで、”上陸審査”の結果として、上陸を拒否された結果、発せられるもの対象外
退去強制広く、我が国に上陸・残留している外国人が退去強制事由(不法上陸や在留資格と取消された場合等)に該当している場合に適用される”手続”

収容(仮放免含む)が前提

手続の中では、退去強制令書の発布が、実際の命令行為にあたる。
5年
出国命令自らの意思をもって出頭した場合等により、身柄を収容することなく出国させる簡易的な手続1年

退去強制手続により出国した外国人は、強制された日から5年間は日本に上陸することはできません(退去強制手続を受けたこと自体が上陸拒否事由にあたるため)が、退去命令の場合はこのような制限はありません。(ただ、退去命令を受けた上陸拒否事由を払拭しないと当然次回も上陸を拒否されます。)

投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。