外国人材の訪問介護、4月から「特定技能」「技能実習」も解禁 背景に深刻な人手不足(2025/4/29 産経新聞)の要約は以下の通りです。

訪問介護の分野で外国人材の活躍が期待されており、2024年4月からは、従来のEPAや在留資格「介護」に加え、「特定技能」や「技能実習」の外国人も条件付きで従事可能となった。政府は深刻な人手不足の解消を目指すが、言語や教育体制の整備が課題となっている。

インドネシア出身の介護福祉士エルマさんは、訪問介護事業所で責任者も務め、重度障害者の支援など高度なケアにも対応。彼女のような成功事例が増えることで、外国人材の受け入れ拡大が期待される。

しかし、教育人材の不足や研修コストが中小事業所の負担となる可能性があり、合同研修などの連携体制の構築が求められている。また、他国でも介護人材の需要が高まっている中、日本で人材を定着させるには、賃金の引き上げや労働環境の改善が急務。

将来的には約60万人の介護職員の増員が必要とされる中、訪問介護職の求人倍率は14倍を超え、特に人手不足が深刻である。介護職の平均給与は他業種に比べ約8万円低く、待遇改善が不可欠である。

ついに外国人労働者の訪問介護サービスへの就労が解禁されました。ここでは「特定技能」についてお話します。

運用要領の改正

特定技能外国人を受け入れるにあたっては、特定産業分野毎に公表されている「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領」(以下運用要領)を守る必要があります。

ところで、特定産業分野として指定されている16分野であれば、どのような職務内容でも外国人が携わることができるわけではありません。携わることのできる業務は、特定産業分野毎の運用要領に定められています。

訪問介護が解禁になったということは、「介護」の「運用要領」に記載された携わることのできる業務内容が変更になったということを意味し、代表的な箇所は以下のとおりです。(入管庁のHP

改正箇所改正前改正後
1号特定技能外国人が従事する業務身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入
浴、食事、排せつの介助等)のほか、これに付随
する支援業務(レクリエーションの実施、機能訓
練の補助等)とし、訪問介護等の訪問系サービス
における業務は対象としない
身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴、
食事、排せつの介助等)のほか、これに付随する支
援業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補
助等)とする。

当該告示の施行日は4月21日でしたので、既に解禁されています。

従事にあたっての遵守事項

外国人材が訪問介護サービスに従事するにあたって、以下の遵守事項が厚生労働省より定められています。

  1. 外国人介護人材に対し、訪問介護等の業務の基本事項等に関する研修を行うこと
  2. 外国人介護人材が訪問介護等の業務に従事する際、一定期間、責任者等が同行する等により必要な訓練を行うこと
  3. 外国人介護人材に対し、訪問介護等における業務の内容等について丁寧に説明を行いその意向等を確認しつつ、キャリアアップ計画を作成すること
  4. ハラスメント防止のために相談窓口の設置等の必要な措置を講ずること
  5. 外国人介護人材が訪問介護等の業務に従事する現場において不測の事態が発生した場合等に適切な対応を行うことができるよう、情報通信技術の活用を含めた必要な環境整備を行うこと
  6. 提供するサービスの質の担保の観点等から、外国人介護人材が訪問系サービスに従事するに当たっては、介護事業所等での実務経験が1年以上ある外国人介護人材であることを原則とすること。
  7. 受入事業者において、利用者やその家族に対して事前に丁寧な説明を行うこと。

上記#6については、満たさない場合日本語能力N2以上という代替要件があるようです。

最後に

上記の遵守事項が守られているかどうかは、巡回訪問等実施機関等による事前・事後の確認によりチェックされ、問題がある受入機関にはペナルティが課されるとのことです。

また、弊事務所が確認した限りでは、このことによる、在留諸申請の申請項目や、提出書類の追加や様式変更は無いようでした。

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投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。