韓国の人気グループ、来日できず公演中止 「在留資格認定」が得られず…謝罪「交付の見込み立たず」(2025/1/25 スポニチアネックス)の記事を以下に要約します。
韓国のボーイズグループ「ONE PACT」は、1月に予定していた来日イベントを中止することを公式サイトで発表しました。理由は、東京出入国在留管理局から在留資格認定証明書が交付されなかったためです。グループはファンや関係者に謝罪し、チケットの払い戻し方法について後日案内するとしています。所属事務所「ARMADA ENT」も、スタッフとメンバーが準備に尽力したものの、VISA発給の遅れによりイベントを開催できなかったことを残念に思い、今後の公演に向けて努力することを伝えました。
在留資格「興行」に関する在留資格認定証明書交付申請が「不交付」となるケースにはいくつかの典型的なパターンが存在します。以下では、不交付となる比較的多い事例や背景について、実務上の観点から詳述します。
1. 所属機関や招聘元の信頼性不足
在留資格「興行」は、芸能活動、スポーツ、演奏・演劇、モデルなど、広義の「エンターテイメント業」に関わる外国人が取得する資格です。そのため、招聘元(プロダクションや劇場など)の実体や信頼性は審査上、非常に重要な判断材料になります。
主な不交付原因:
- 会社設立後間もない、または実績が乏しい
- 過去に不法就労助長や資格外活動の違反歴がある
- 納税実績や社会保険の未加入など、企業としての信用性に欠ける
このような場合、入国管理局は「偽装招聘」や「就労実態の不明確さ」を懸念し、不交付と判断する傾向があります。特に芸能界やナイトビジネスに近い業種では、過去に多くの違反事例があるため、より慎重に審査が行われます。
2. 活動内容と在留資格の適合性が曖昧
「興行」という在留資格は、入管法において定められた特定の活動に限定されています。たとえば、以下のような活動が該当します。
- 舞台、映画、テレビ、ラジオ等の演奏・演技
- スポーツ選手としての活動
- モデルとしての撮影やファッションショー出演
- 外国において著名な人物の芸能活動 など
不交付となる典型的な例:
- 活動内容が曖昧、または詳細が不十分
- ホステスや接待行為を主たる業務とするナイトクラブでの勤務
- スカウト業務、営業活動、雑務など、「興行」活動と直接関係しない業務を含む契約
このような場合、申請者の実際の活動が「単なる就労」とみなされ、「興行」としての適合性を欠くと判断されます。特に、接待を伴う飲食店でのダンサーやショーガールの申請には厳しい目が向けられます。
3. 契約書・雇用条件の不備
契約内容は「興行」資格審査の中核的な要素です。適正な報酬や労働条件が明記された契約書を提出することが求められます。
よくある不備:
- 報酬額が業界水準を大きく下回る
- 報酬額の証明が不十分(過去の支払い実績や振込記録がない)
- 契約期間が短すぎる、または更新の意思が不明確
- 契約書に署名・捺印がない、曖昧な条項が多い
特に報酬額に関しては、「同様の業務に従事する日本人と同等額以上であること」が審査基準となっており、基準を下回ると「不適正な契約」として不交付となる恐れがあります。
4. 申請書類の虚偽記載や不備
申請書類の不備や虚偽記載も不交付理由として頻出します。具体的には以下のような事例です。
不交付につながる具体例:
- 学歴・職歴の詐称
- 芸能活動歴の虚偽申告
- 写真・映像などの偽装された実績資料
- 他人の経歴を自分のものとして申告
日本の入管審査では、申請内容の裏付けとなる資料が極めて重視されます。そのため、たとえ小さな虚偽であっても「申請全体の信用性がない」と判断され、不交付になることがあります。
5. 過去の在留歴や違反歴によるマイナス評価
申請者本人に過去の在留歴や違反歴がある場合、それも審査に大きな影響を与えます。たとえば:
- 過去に資格外活動違反で摘発された経験がある
- オーバーステイ歴や強制退去歴がある
- 過去の申請で虚偽申告や偽装があった
こうしたケースでは、「再び違法な活動をするのではないか」と見なされ、不交付となる可能性が非常に高くなります。
6. 入国後の活動管理体制の不備
入管は、申請者が入国後に適切な活動を行えるかどうかについても重視します。招聘元が活動管理体制を整えていないと判断された場合、不交付となるケースもあります。
不備の具体例:
- 活動場所が不明確、または複数あり過ぎる
- 住居や生活面のサポート体制が整っていない
- 日常的な指導・監督者が不在
芸能や興行の分野では、複数の場所で出演するケースもありますが、その都度、詳細なスケジュールや交通手段などの管理が必要です。管理がずさんであると判断されると、リスクが高いとみなされます。
結論
在留資格「興行」における在留資格認定証明書交付申請が不交付となるケースには、申請者本人の適格性の問題だけでなく、招聘機関や契約内容、提出書類の整合性など、多くの要素が複雑に絡み合っています。特に、日本国内における「興行」活動が過去に不正就労や人身売買の温床となることがあった経緯から、入国管理局は厳格な審査を行っており、少しの不備や疑義があるだけでも不交付となる可能性があります。
そのため、申請時には「法的適合性」「活動の実態性」「契約の妥当性」「招聘元の信頼性」「活動管理体制の整備」など、あらゆる観点から十分な準備を行うことが求められます。経験豊富な行政書士や専門家の助言を得ることも、不交付を回避するための有効な手段です。