近年、日本における外国人の在留者数は急増し、2023年には過去最多となる358万人を記録しました。外国人労働者や留学生、技能実習生など多様な背景を持つ外国人が日本で生活し働いており、その中には日本の法律や社会の仕組みに不慣れな人々も多いです。そのため、外国人が犯罪の被害に遭うケースも増加しています。(2025/2/5 産経新聞 外国人の犯罪被害増加 中国公安局名乗り、同胞狙った誘拐偽装詐欺事件相次ぐ )加えて、外国人自身が犯罪に巻き込まれるケースや、外国人による犯罪が報じられることもあり、治安の問題が重要な課題となっています。

このような状況において、行政書士は外国人が犯罪に巻き込まれないようにするための重要な役割を果たすことができます。行政書士は、外国人の生活や労働、在留資格に関する専門的な知識を持ち、法的な手続きをサポートする専門家です。そのため、外国人が日本で安全に生活できる環境を整えるために行政書士が果たすべき役割は非常に大きいと言えます。

1. 外国人が犯罪に巻き込まれる背景

まず、外国人が犯罪に巻き込まれる背景にはいくつかの要因があります。以下の点が特に重要です。

(1) 言語の壁

多くの外国人が日本語に不自由しており、日常生活や仕事、法律に関する情報を十分に理解できないことがあります。これにより、詐欺や不正行為の被害に遭いやすくなります。例えば、日本語が不十分なために、重要な契約書や取引内容を正確に理解できず、詐欺に巻き込まれるケースが見受けられます。

(2) 文化や法律への不慣れ

日本の法律や社会慣習に不慣れな外国人が、知らず知らずのうちに違法行為に関与することもあります。例えば、労働基準法に基づく権利や労働条件、税務に関する知識が不足しているため、不正な契約を結んだり、搾取されるケースがあります。また、外国人が不法就労やビザに関する問題を抱えている場合、これが犯罪行為に巻き込まれる原因にもなります。

(3) 経済的な困窮

特に低賃金で働く外国人労働者や留学生は、経済的な理由から犯罪に加担することがあるほか、犯罪者に騙されて不法行為に関与することもあります。闇バイトや違法労働に誘われることも多く、そうした状況に陥ることは非常に危険です。

2. 行政書士の役割とできること

外国人が犯罪に巻き込まれないようにするため、行政書士は以下のような方法でサポートを提供できます。

(1) 日本の法律や制度に関する教育

行政書士は、外国人に対して日本の法律や制度について説明し、理解を深めてもらう手助けをすることができます。例えば、労働契約や賃金について、外国人がその権利を理解できるようにサポートすることが重要です。また、日本の労働基準法や税務、社会保険に関する知識を提供することで、外国人が不当な扱いを受けないようにすることができます。

特に、外国人労働者や技能実習生は、労働契約の内容や就業条件を十分に理解していないことが多く、不法な労働環境に陥ることがあります。行政書士は、外国人が自分の権利を守るための契約書や書類を正確に理解し、署名する前に適切なアドバイスを提供することが求められます。

また、外国人が日本の法律や行政手続きを理解するためのセミナーやワークショップを開催することも有効です。こうした活動を通じて、外国人が自らの権利を知り、違法な契約や取引に巻き込まれるリスクを減らすことができます。

(2) 外国人の在留資格の管理と正当な手続きのサポート

外国人が日本で合法的に生活し、働くためには、適切な在留資格を持っていることが必須です。行政書士は、外国人が必要な在留資格を取得し、適切な手続きを行うためのサポートを提供します。不正な在留資格や不法就労に関する問題が発生しないように、在留資格の更新や変更の手続きについてアドバイスし、正当な手続きを踏むようにサポートします。

また、行政書士は、外国人がビザに関する問題に巻き込まれることを防ぐために、ビザの変更や更新に必要な書類の作成や提出を手助けすることができます。ビザに関する法律は複雑であり、外国人が誤った情報をもとに手続きを行うと、後々問題が発生することがあります。行政書士が適切なサポートを提供することで、外国人が不法就労やビザの不正使用に関与するリスクを減らすことができます。

(3) 外国人に対する詐欺や不正行為の警告と予防

行政書士は、外国人が詐欺や不正行為に巻き込まれないように、警告を行い、予防策を講じることができます。外国人に対して詐欺の手口や不正行為に対する警戒を呼びかけることが重要です。例えば、警視庁などの公的機関と連携して、外国人向けに詐欺の予防に関する情報提供を行うことができます。また、外国人が詐欺に巻き込まれた場合に、どのように対処すべきかを事前に教えることも有効です。

さらに、行政書士は、外国人に対して不正な契約や仕事を提供する業者に対する注意を促すことができます。外国人労働者が不正労働に巻き込まれないように、信頼できる企業との契約を結ぶようにアドバイスを行います。これにより、外国人が違法な労働に関与するリスクを減らし、健全な労働環境を確保することができます。

(4) 外国人のための相談窓口の設置と支援

行政書士は、外国人が直面する問題に対して相談窓口を設け、サポートを提供することができます。外国人が法律や社会的な問題に直面した際に、行政書士に相談できる環境を整えることで、犯罪に巻き込まれるリスクを減らすことができます。

また、外国人が犯罪に巻き込まれた場合に、適切な対応を取るために、警察や弁護士、福祉機関などと連携して支援を行うことも重要です。行政書士は、外国人が犯罪被害に遭った際に、どのような手続きを踏んで解決すべきかをアドバイスし、被害の拡大を防ぐために早期対応を促すことができます。

3. まとめ

外国人が犯罪に巻き込まれないために、行政書士は多岐にわたる支援を提供できます。日本の法律や制度について外国人に教育を行い、適切な在留資格の管理や手続きのサポートを通じて、外国人が犯罪に巻き込まれるリスクを減らすことが可能です。また、詐欺や不正行為に対する警戒を促し、信頼できる契約や仕事を結ぶようにアドバイスを行うことも重要です。行政書士は、外国人が安全に日本で生活し、働けるようにサポートする重要な役割を果たすことができます。

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投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。