令和6年3月29日の閣議決定(特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加について)により、「自動車運送業」、「鉄道」、「林業」及び「木材産業」の4つの分野が新たに追加されることとなりましたが、「自動車運送業」を除く3分野について9月30日に上乗せ基準告示が交付、即施行されたことにより、受入が始まりました。

「自動車運送業」の告示は、出入国在留管理庁の該当ホームページにまだ表示されていません。

特定産業分野とは

特定技能制度においては、生産性の向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野に限り、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人の受入れが認められています。この産業上の分野を一般に特定産業分野と呼んでおり、追加された4分野を含め、現在下記の16分野が対象となっています。

介護ビルクリーニング工業製品製造業建設
造船・舶用工業自動車整備航空宿泊
農業漁業飲食料品製造業外食業
自動車
運送業
鉄道林業木材産業

上乗せ基準とは

特定技能制度においては、申請人(外国人)自身、特定技能雇用契約、特定技能所属機関(雇用者のこと)、特定技能外国人支援計画等のそれぞれについて様々な基準が存在し、これら基準に適合している場合に、在留資格「特定技能」を付与されます。これら基準には、上記、特定産業分野固有のものも存在し、これらを上乗せ基準と呼んでいます。上乗せ基準は告示により定められます。

4分野における不足人数と受入見込

自動車運送業

分野別運用方針によれば、令和 10 年度には、合計 28 万 8,000 人程度(トラック運送業:19 万9,000 人程度、タクシー運送業:6万 7,000 人程度、バス運送業:2万 2,000 人程度)の人手不足が生じるとされており、生産性向上及び国内人材の確保の手段を尽くしてもなお足りない人材 24,500人 を受け入れることとしています。

鉄道

分野別運用方針によれば、令和 10 年度には 15万 1,600 人の就業者が必要となる中、1万 8,400 人程度の人手不足が生じるとされており、生産性向上及び国内人材の確保の手段を尽くしてもなお足りない人材 3,800人 を受け入れることとしています。

林業

分野別運用方針によれば、令和 10 年度には5万 8,000 人の就業者が必要となり、2万人程度の人手不足が見込まれるとされており、生産性向上及び国内人材の確保の手段を尽くしてもなお足りない人材 1,000人 を受け入れることとしています。

木材産業

分野別運用方針によれば、13 万 6,000 人の就業者が必要となり、5万 7,000 人程度の人手不足が見込まれるとされており、生産性向上及び国内人材の確保の手段を尽くしてもなお足りない人材 5,000人 を受け入れることとしています。

今後の展開

追加が検討中の分野

日本フランチャイズチェーン協会から、コンビニ業界も特定産業分野への追加を要望した時期がありますが(2022年11月内閣府ホームページ)、現時点でその進捗は無いようです。特定技能制度は、生活支援等の追加業務や各種届出が義務化されており多大な管理コストが発生します。この事がフランチャイズという業態になじまない(店舗オーナにとってこの追加コストは耐えられない)等の課題があるようで、実現に向けた盛り上がりは聞きません。

既に決まっている特定産業分野の中で業務追加が望まれる分野

一方で、例えば「宿泊分野」で受け入れることのできる業務は、”宿泊施設におけるフロント、企画・広報、接客及びレストランサービス等の宿泊サービスの提供に係る業務”と指定されており、人手不足が顕著なホテル内でのハウスキーピング業務は対象外となっています。こうした、それぞれの特定産業分野の中での対象業務拡大等の動きが今後見られるかもしれません。

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投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。