2024/10/4 佐賀新聞の記事による、”小城市に住む中国籍の20代男性が300万円をだまし取られるニセ電話詐欺が発生した”との記事について昨日投稿しましたが、その第二弾、特に「在留資格」と結び付けた詐欺被害を中心に記述します。
在留外国人にとって「在留資格」は、その生活基盤を支える極めて重要なものであり、これがなければ日本に滞在することも働くこともできません。この在留資格を失う恐怖を悪用した詐欺やトラブルが、日本国内で増加しています。特に、日本の法律や制度に不慣れな外国人が狙われやすく、トラブルに巻き込まれるケースが多く報告されています。以下では、具体的な実例を交えながら、外国人が在留資格に関わる詐欺やトラブルを避けるために注意すべきポイントを解説します。
1. 偽のビザ更新サービス
日本に滞在する外国人にとって、定期的な在留資格の更新は避けられない手続きです。この手続きの際に、偽のエージェントや仲介業者が現れ、詐欺行為を行うケースが増えています。これらの詐欺師は、「ビザの更新を代行する」と偽り、手数料を騙し取るか、偽造書類を使って違法にビザを更新しようとします。こうした行為は、被害者が詐欺に気づかないまま不法滞在者となるリスクを伴います。
実例1: 偽のビザ更新代行業者
ある外国人労働者が在留資格の更新時期を迎えた際、知人の紹介で「ビザ更新を代行してくれる業者」に依頼しました。その業者は手数料として高額な金額を要求し、手続きが問題なく進むと保証しました。しかし、数ヶ月後に入国管理局から通知が届き、申請が却下されたことが判明しました。業者は偽造書類を使用して申請を行っており、その外国人は不法滞在状態となってしまいました。このような事例では、被害者は信頼できる情報源に基づいて自ら手続きを行うか、必ず行政書士や弁護士といった信頼性の高い専門家に依頼することが必要です。
2. 偽造書類や虚偽申告による申請代行詐欺
日本での在留資格取得や更新には、各種の書類を提出する必要があり、これを不正に操作しようとする詐欺も多発しています。特に、日本語の読み書きが困難な外国人は、自身で手続きができないと考え、安易に「手続きを代行する」と名乗る業者に依頼してしまうことがあります。しかし、これらの業者は不正な書類を作成し、虚偽の内容を申告することが多く、結果的に外国人自身が法的トラブルに巻き込まれることになります。
実例2: 偽造学歴証明書による在留資格申請
ある外国人留学生が、在留資格の延長を申請する際に、学歴証明書が必要であると聞き、書類の取得が困難だと感じたため、インターネットで見つけた代行業者に依頼しました。その業者は「必要な書類を全て準備する」と約束し、高額な料金を要求しました。しかし、実際に業者が提出した書類は偽造されたものであり、入国管理局によりその不正が発覚し、留学生はビザの更新を拒否されるだけでなく、強制送還の対象となってしまいました。このような事例では、たとえ手続きが複雑であっても、書類の偽造や虚偽申告に手を出さないことが重要です。信頼できる専門家に正規の手続きを依頼することが不可欠です。
3. 不正雇用と在留資格の不正取得
在留資格を悪用した詐欺の一環として、不正な雇用が絡むケースも多く見られます。外国人を違法に労働させる雇用主は、適切な在留資格を持たない労働者に対して、虚偽の職務内容を記載した申請を行い、不正に在留資格を取得させようとすることがあります。これにより、外国人は不適切な労働環境で働かされ、場合によっては労働基準法に違反する状況に置かれます。また、このような不正な手段で取得された在留資格は、後に入国管理局により無効とされるリスクがあり、最悪の場合、国外退去を命じられる可能性があります。
実例3: 不正雇用による在留資格不正取得
ある外国人が、日本で働くために在留資格を申請する際、雇用主が虚偽の職務内容を記載し、実際には単純労働しか行わないにもかかわらず、技術者としての在留資格を取得させました。しかし、後日、入国管理局の調査が入り、虚偽の申告が発覚。外国人労働者はその在留資格が無効となり、強制送還の危機に瀕しました。このようなケースでは、雇用主から不正な提案をされた場合でも、それに従わず、正当な手続きを行うことが重要です。また、雇用契約に関しては、自身でしっかりと確認し、不審な点があれば専門家に相談することが推奨されます。
4. 偽の入国管理局職員を名乗る詐欺
最近では、偽の入国管理局職員を名乗る詐欺も報告されています。詐欺師は、電話やメールで入国管理局を装い、在留資格の違反を口実に罰金や手数料を要求する手口を使います。このような詐欺は、特に日本語や法律に不慣れな外国人をターゲットにしており、被害者は正規の手続きだと誤解し、金銭を支払ってしまうことがあります。
実例4: 偽の入国管理局からの通知詐欺
ある日、日本に滞在している外国人が、入国管理局を名乗る人物から電話を受け取りました。その人物は「あなたの在留資格に問題がある」と伝え、問題を解決するために罰金を即座に支払う必要があると主張しました。被害者はこの話を信じ込み、指定された口座に金銭を振り込みましたが、後日それが詐欺であることに気づきました。入国管理局が電話やメールで罰金を要求することはありません。公式の通知は郵便で送られるため、電話やメールでの金銭要求には応じないようにしましょう。
5. 「在留特別許可」を悪用した詐欺
在留特別許可を装って詐欺を行うケースも増えています。在留特別許可は、通常の在留資格ではなく、特定の事情に基づいて許可されるものです。この制度を悪用し、偽の仲介者が「特別な手続きを経れば、確実にビザを取得できる」と騙し、高額な手数料を請求する詐欺があります。これにより、外国人は不正な手段でビザを取得しようとするリスクを冒すことになります。
実例5: 特別在留資格を騙る詐欺
ある外国人が、日本での在留期間が切れそうになり、特別な手続きを通じて在留資格を延長できると主張する業者に依頼しました。その業者は高額な手数料を要求し、在留特別許可を取得するための「特別ルート」を提供すると約束しましたが、実際にはそのような特別ルートは存在せず、業者はお金を受け取った後に連絡を絶ちました。このような詐欺に巻き込まれないためには、在留資格に関する正しい情報を得て、怪しい業者には近づかないことが重要です。
まとめ
在留外国人にとって、在留資格は日本での生活の根幹を支える重要な要素であり、この資格を失うことは生活基盤を失うことに等しいです。そのため、この不安を利用した詐欺やトラブルに巻き込まれるケースが後を絶ちません。ビザ更新代行を装った詐欺や偽造書類、不正雇用に関わる詐欺、偽の入国管理局職員を名乗る詐欺など、さまざまな手口が存在します。これらのトラブルを避けるためには、常に信頼できる情報源を利用し、怪しい業者や不正な提案には断固として対処することが重要です。また、在留資格に関する問題に直面した場合は、必ず専門家や公的機関に相談することを心がけるべきです。正しい情報をもとに、慎重に行動することで、在留資格に関わるトラブルを未然に防ぐことができます。