ニュース記事
”全国で最も在留ネパール人が多い都市「名古屋」 隣町にできたインターナショナルスクールを訪ねると…”(2024/05/13 中日新聞)によれば、
日本国内で増え続けているネパールからの留学生。その増加は2010年代初めごろから顕著になるが、5年ほど遅れて急激に増えたのが、在留資格「技術・人文知識・国際業務」での在留者だ。関係者の間では「技人国(ぎじんこく)」と略され、数あるビザの中でも高度人材に分類される。学歴などの要件がありハードルは高いが、留学後に日本企業へ就職する際にこのビザを取得する人が多い。23年6月の統計で3万人超。日本政府が前面に押し出している「特定技能」の10倍近い。
とのこと。
在留外国人数
上記の技人国が3万人で特定技能の10倍というのはネパール人に関してとのことです。自治体ベース、例えば、全国の他、愛知県、名古屋市でいえば、技人国は特定技能の1.5倍~3倍弱ですね。(特定技能2号は微々たる数字であるので割愛)
新しい在留資格であり、よく耳にする特定技能よりも依然として、昔からの定番である「技人国」が(永住者を除いて)主流であるということは興味深いです。
技人国と特定技能
検討する場面
記事では、二つの在留資格の違いについて、家族を帯同できるか否かについて述べられていますが、この投稿では、もう少し掘り下げて述べてみたいと思います。
もっとも、両者は違う在留資格であり、あくまで日本で行う活動に該当する在留資格を申請するべきで、どちらが得かということではありません。ただ、現実世界としては、相違点を十分考慮しなければならない場面が多々あります。
例えば、以下のような相談を受けたことがあります。
- 技人国の在留資格を持っているが、宿泊業の会社を辞めた。
- 転職先として、外食業が候補としてあがっている。
- 卒業した母国の大学で専攻した科目と外食業は関連性が薄い。
- 外食業では、現場作業が多くなると思われる。
- 技人国から特定技能に在留資格を変更申請すべきか迷っている。
考慮すべき点
在留資格該当性と基準該当性
上記3の点において、ひと昔前は大学で専攻した科目と実際の仕事との関連性を求められていましたが、最近は柔軟に解釈される運用になっています。
また、4の点ですが、こちらは研修の一環で、全体業務の中で原版作業が占める割合が一部に限られるような場合であれば認められる余地がある運用となっています。
転職にあたって
技人国の場合は、転職しても、新しい会社における仕事が、技人国が定める活動の範囲内である場合は、在留資格変更申請は必要ありません。一方、特定技能の場合は、在留資格の変更が必要となります。(特定技能から特定技能への変更)
特定技能の場合は、在留カード発行時、所属機関(雇用主)等が記載された「指定書」が併せて発行され、「指定書」に書かれた活動のみを行うことができます。
「特定技能」という在留資格(の名称)は変わらなくとも、「指定書」記載内容が変わることとなるため、在留資格変更手続が必要となるのです。
上記、私が相談された事例において、特定技能に変更するとした場合、在留資格の変更許可が出るまでは、その外国人の方は就労することができません。
家族の帯同
冒頭記載のニュース記事に記載されているとおり、技人国は、家族の帯同が可能です。別途「家族滞在」という在留資格を取得することになります。「家族滞在」の資格は、資格外活動許可を受けて、一定の条件でアルバイトをすることが可能です。
一方、特定技能1号(最長5年)は家族の帯同は認められていません。特定技能2号に移行して初めて可能となります。(2号の説明は割愛)
まとめ
現場作業が少しだけ入ってしまう、或いは卒業した大学と、仕事に関連性が無いからといって、技人国ではなく特定技能を選択しようとするのではなく、手続の選択には慎重を期すべきといえます。(特定技能のほうが、外国人ご自身、或いは雇用者双方にとって、様々な面で制約(活動自体の制約や、各種申請の煩雑さ)が多いのです。)