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産経新聞「日本政府、反プーチン政権のロシア人に在留許可 弾圧考慮か」2024/04/25 によれば、”ロシアのプーチン政権を批判し、ウクライナ侵攻開始前に日本に事実上亡命して難民認定を求めているロシア人男性に対し、法務大臣の裁量で例外的に滞在を認める「在留特別許可」が3月中旬に出たことが25日、分かった。男性本人や関係者が明らかにした。難民認定を申請したロシア人に在留許可が出るのは異例。”とのこと。

入管庁発表「令和5年における難民認定者数等について」より

ちょうど、先月26日、出入国在留管理庁より、「令和5年における難民認定者数等について」が発表されています。

国籍別難民認定申請者数の推移

記事には”難民認定を申請したロシア人に在留許可が出るのは異例”とありますが、上記によれば、そもそも難民認定申請の中でロシア人が占める割合が少数とみてとれます。

難民該当性

当該ロシア人は、あくまで難民認定を申請していたが、「不認定」となったものの、人道上の理由で特別に在留許可されたというものです。

記事は以下のように続きます。

“ロシアではウクライナ侵攻以降、政権が反体制派の市民を徹底的に弾圧しており、日本政府が事情を考慮した可能性がある。男性は「強権的なプーチン大統領が支配するロシアから離れたかった」と強調。ロシアに戻れば「刑務所に入れられるかウクライナの戦場に送られる」と話した。”

当ブログの投稿、「難民等と認定した事例等について」で述べたとおり、難民の定義は、”人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の外にいる者であって、国籍国の保護を受けることができないもの” です。

当該ロシア人は、当然に難民に該当するものと思われます。

入管庁の判断ステップ

同じく、「難民等と認定した事例等について」において、私なりに解釈した、入管庁の判断ステップを以下に再掲します。

  • 提出された資料から、申請者が本国に戻り迫害を受ける可能性が高いか否か
    • YESの場合
      • 本国政府自身が迫害を肯定する可能性があるか
        • YESの場合→難民認定
        • NOの場合→難民不認定(但し人道上の理由から在留許可) 
    • NOの場合
      • 人道上の配慮から庇護すべきか(迫害でなく紛争に巻き込まれる等)
        • YESの場合→難民不認定(但し人道上の理由から在留許可) 
        • NOの場合→難民不認定(審査請求、収容、仮放免含む退去強制手続へ)

今回の事例は、上記赤色部分に着地したということになります。

まとめ

難民申請が認定されるかどうかは、外交関係上の相手国への配慮・忖度のようなものです。難民と認めてしまうと、迫害をロシア政府を行っていると公に宣言するということになってしまうので、在留特別許可に着地させたということだろうと思います。

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投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。

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