外国人の方を雇用するにあたり、就労資格証明書を取得しておかないと不法就労にあたりますか?という問い合わせを受けることがあります。本投稿では、就労資格証明書交付申請の意義について解説したいと思います。

就労資格証明書とは

外国人の方が、その在留資格で行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を法務大臣が証明する文書です。(詳しくは入管庁HPまで)

  • 申請書に記載する在留資格
  • 在留資格のもと行える活動の内容
  • 申請書に記載する「証明を希望する活動の内容」が、上記、活動の内容に該当すること

上記を出入国在留管理局長が証明するという文書になっています。なお、この証明書をもって、在留資格を保持していることの証明にはなりません。不法残留、不法就労で無いことを証明するためには在留カードの提示が必要となります。

就労資格証明書の意義

外国人自身にとってのメリット

外国人自身の方にとっては、転職活動の際、転職先での就労活動が可能であること、また転職先での職務内容に応じた活動を行うことができることを転職先に示すことができます。就労可能な在留資格を持っていることは、在留カードを示すことで証明できますが、在留カードには具体的に行うことができる活動は記載されていません。

雇用者としてのメリット

従業員が、その在留資格で行うことのできない仕事を行い報酬を得ていた場合、雇用者側の不法就労助長罪が疑われます。あっせんまでしていなくとも、そのことを知っていた場合は罪に問われる可能性があります。知らなかったことを証明することも面倒なものです。この点、入社時、従業員から就労資格証明書を提示してもらう、或いは申請してもらう(転職時は申請から交付まで時間がかかります。(勤務先に変更がある場合1~3か月、無い売は当日))プロセスにしておき、常に適正な外国人雇用を心がけている姿勢を入管に示すことのできる状態にしておく安心感が生まれます。(なお就労資格証明書を提示しないことで採用の合否を不利に定めることは、入管法で禁じられていますのでお気をつけください。)

次回の在留期間更新が迅速に

例えば、「技術・人文知識・国際業務」といった在留資格では、仕事の内容が変わらない(在留資格該当性や上陸許可基準を満たしていることに変わりはない)限り、在留資格変更許可を申請する必要はありません。ただ、転職を経て初めての在留期間更新許可申請手続においては、新しい転職先について、会社、職務内容等につき、通常の在留資格変更許可と同等のレベルで厳正に審査されます。

自分ではいけるだろうと思っていても、在留期間更新が許可されず、仕事を続けられなくなったりするリスクはつきまといます。

在留期間更新に先んじて、就労資格証明書を交付してもらい、更新許可申請の際、当証明書を添付することで、審査を迅速に行ってもらうことが期待できます。(事実上の審査が既に終わっているからです。)また、万一就労資格証明書が不交付となって場合は通知書にその理由が書かれており、在留期間更新に備えた対策をうつことができます。(通知書に記載された簡潔な理由だけでは不明な場合、一度だけ入管に直接聞くことができます。)

これが、当手続の最大のメリットです。

(もっとも在留期限まで期間的余裕がある場合の話です。)

実務上のポイント

転職があった際には、当手続きの添付書類として、「新たな勤務先や活動内容の詳細がわかる書類」が追加されます。実務上はさらに、上記の次回在留期間更新手続が迅速に行われることを期待しつつ、在留資格変更許可申請に臨む際と同じレベルで、雇用理由書等も加えながら、細心の注意を払って申請に臨みます。

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投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。

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