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「難民申請中の送還、6月開始 3回目以降、改正入管法」(2024/4/5 共同通信)によれば、出入国在留管理庁は5日、昨年成立した改正入管難民法に基づき、3回目以降の難民申請者を強制送還の対象とするなどの運用を6月10日に開始すると発表した とのこと。

令和5年入管法改正のポイント

昨年成立した入管法改正の主なポイントは以下の通りです。

  1. 「補完的保護対象者」認定制度の創設
  2. 在留特別許可申請手続の創設
  3. (送還忌避問題の解決)送還停止効の例外規定創設
  4. 収容しないで退去強制手続を進める監理措置の創設

当記事は、上記3にあたるもので、現行法上、難民認定申請中は、何度でも、一律に送還が停止する(=送還停止効)ところ、3回目以降の申請者、3年以上の実刑前科者、或いはテロリスト等については、その例外規定を創設するというものです。

なお、3回目以降の申請でも、難民等と認定すべき「相当の理由がある資料」を提出すれば送還停止となります。

法改正(送還停止効の例外規定創設部分)の背景

現状、法務省のスタンスは、難民認定申請者数(令和3年度は2,413人)のほとんどは実際には難民ではないというものです。難民認定申請を繰り返すことによって、退去を回避しようとする人の中から犯罪につながる事例が発生し、難民認定制度の濫用につながっている、というのが本改正の背景になります。

法改正(送還停止効の例外規定創設部分)への批判

当該法改正には様々な方面から批判があがっていますが、送還停止効の例外規定創設に関する主なものとして、以下のようなものがあります。

  • 国際基準からかけはなれている難民認定率(ほぼ0%)であることが問題なのであって、申請3回目が濫用というのはおかしい。(第二東京弁護士会
  • 収容されながらも留まっている申請者がたくさんおり、複数回申請の中でも認定されるケースはある。(難民支援協会)
  • まず、保護すべき難民申請者を保護していると評価できる実績を作ることが大前提であり、難民認定の判断に誤りがあった場合には、取り返しの付かない結果が生じる。(移住連

まとめ

法務省の見解は、「人」が難民の”ふり”をしている。これに対する反論は、「国」が難民保護制度がある”ふり”をしている,ということなのでしょう。

なお、当ブログの投稿、「難民と在留特別許可」で述べたとおり、新設される在留特別許可制度におけるガイドラインでは、在留特別許可を付与するかどうかの判断要素として、難民等(補完的保護含む)に該当するか否か含め、人道上の配慮を必要とするとされています。

難民認定制度に様々な課題があることを前提としながら、在留特別許可制度の活用も含め、外国人の人権保護に十分留意した入管行政となることを願ってやみません。

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投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。

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