(ここでは、出入国管理法ではなく入管特例法の範疇になる、いわゆる在日朝鮮人の方々に代表される特別永住者を除いたケースについて説明したいと思います。)

<ビザ免除国のケース(短期滞在)>

日本に入国する外国人数でダントツに多いのは海外旅行客です。彼らは空港等で入国審査官から「短期滞在」という在留資格をあらわすスタンプをパスポートに押印されます。現在70の国がビザ免除国とされており、これらの国籍をあらわすパスポート保持者は、入国審査の過程で問題が無ければ、“ビザを提示することなく”、「短期滞在」の在留資格が与えられます。

<ビザが必要なケース>

一方、ビザ免除国からの入国者に与えられる「短期滞在」以外の在留資格については、ビザが無いと”入国”できません。これはどういう理屈によるものかというと、”その外国人は日本に入国してよいと認めるので推薦します”という「外務省」の推薦があって初めてその外国人は日本に入国できる、というわけです。これがビザ(査証)の存在理由であり、言い換えれば日本の外務省の推薦状です。ビザが免除される国があるのは、推薦なくして信頼できるほど日本国と当該国の関係が安定しているからということになります。ビザは、その外国人が居住している国にある、外務省の管轄たる日本大使館、領事館で発給されます。

さて、外務省はその外国人が何者かについて何の情報も無く推薦を与える(ビザを発給する)ことはできず、その外国人が日本に入国しようとする目的(働くとしたらどんな仕事をするのか、留学するのか、日本の配偶者と同居するのか等)を知る必要があります。このことを証明して”あげる”(外国人は書類を準備して証明して”もらう”)のが「法務省」の管轄たる出入国在留管理庁(入管庁)です。この証明は、「在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility、通称COE)」(以下、証明書)という書面で発行されます。

証明書は、日本国内の入管庁地方官署で発行されるため、外国人の方は、日本に入国したら所属することになる受入予定会社や、日本人の配偶者など、入国目的に応じた代理人に申請してもらうことになります。ここで発行された証明書を、日本の代理人から海外にいる外国人に送付し、外国人は証明書をもって日本大使館・領事館に出向き、ビザを発給してもらうわけです。

<在留資格についてもう少し>

さて、ここまでで出てきた「在留資格」と、入国時、入国審査官からパスポートに押印される「在留資格」はちょっと意味が違います。「在留資格認定証明書」が発行されたからといって「在留資格」が確定するわけではないからです(認定証明とまで言っているのに。。。)。より正しくいえば、法務省が、“僕が発行してあげたこの紙をもっていけば外務省できっとビザ発行してくれて、そのビザで入国審査受ければ、入国が認められる、即ち紙に書いてある在留資格が得られると思う”事が書かれた手紙です。(「在留資格認定証明書」は「入国目的認定書」などと言った方がより正しいと思われますが、この名称が使われている意味は深く掘り下げると多々ありますので、ここでは割愛します。)

一方、入国審査官からパスポートに押印される「在留資格」は確定的な意味を持ちます。この「在留資格」に応じた在留カードが発行され、これを根拠とする法的権利・義務が外国人の方に発生します。就労することのできない在留資格であるのに働いて報酬を得た外国人は、不法就労の罪で罰せされたり退去強制を受けたりします。

<ビザと在留資格は違う>

「ビザ」は入国するための推薦状にすぎず、入国する瞬間までの意味で使われる「在留資格」は入国目的の意味合いで使われるということについて説明してきましたが、申し上げておきたいことは、「ビザ」と、パスポートに押印される前の「在留資格」という表現、実際に付与された「在留資格」の違いです。

日本に入国しようとしている、或いは合法的に日本に滞在しているかどうかという文脈において、ビザを取得したか、ビザの更新は大丈夫か等といった会話をよく耳にしますが、これらの表現は、以上のことから意味を成しません。(基本的に、ビザ、在留資格認定証明書ともに入国すればその役割を終えます。) 在留資格認定証明書は取得したか、(在留資格と同時に付与された)在留期間の更新は大丈夫か、活動に応じた在留資格で在留しているか(届け出をしないで(在留)資格外活動をしていないか)といった表現であれば適切です。

言葉は正しく使いたいと思い、長々と書いてしまいました。

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投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。

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