大学や専門学校で受け入れた留学生が就労目的などで所在不明となることを防ぐため、政府が外国人の在留資格付与基準を定めた「上陸基準省令」を改正する方針を固めたとのこと。(2024/02/16 産経新聞

留学生の在籍管理に問題のある大学などへの留学希望者には留学資格を付与しない方針だそうです。

在留資格「留学」を付与するにあたって、受け入れる教育機関は、既に、入管庁によって適正校と、そうでない慎重審査対象校に管理されています。

<適正校とは>

前年1月末の在籍者数に占める下記1~5のいずれかに該当する在籍者の数の割合(問題在籍率)が5パーセント以下である場合は、適正校とされます。(入管庁のホームページ

  1. 不法残留した者
  2. 在留期間更新許可申請が不許可(修学状況の不良等在留実績に関するものに限り、当該申請に関し、申請どおりの内容では許可できない旨の通知を受けたものを含む。)となった者
  3. 在留資格を取り消された者
  4. 資格外活動の許可を取り消された者
  5. 退去強制令書が発付された者

<適正校のメリット>

例えば、適正校とされた(入管庁から適正である旨の通知を受け取っている)大学に留学しようとする場合、在留申請の際、下記の申請人が提出すべき書類が提出不要となるメリットがあります。

  • 最終学校の卒業証明書
  • 日本語能力に係る資料
  • 経費支弁書
  • 預金残高証明書(原本)
  • 過去3年間の資金形成経緯を明らかにする資料
  • 経費支弁者と申請人の関係を立証する資料
  • 経費支弁者の職業を立証する資料(滞在費を他人支弁とする場合)
  • 過去3年間の経費支弁者の収入を立証する資料(滞在費を他人支弁とする場合)

また、上記の他、受入予定の大学が適正校かそうでないかにより、原則的に付与される在留期間が異なります。例えば、4年以上の在籍予定である場合、適正校の場合は2年3か月であるのに対し、そうでない場合は1年3か月です。(審査要領)

<まとめ>

現行制度における、「教育機関の選定」の内容は、あくまで提出書類数と付与される在留期間の2点において、適正校に留学しようとする外国人を優遇するものです。

今回報道された政府の方針に基づけば、慎重審査対象校とされる大学、或いは、慎重審査対象をさらに分類(例えば、問題在籍率が10%を超えるなど)し、その基準を超えた大学への留学は一律許可されない ということになるのだろうと思います。

消極要素、それも断定的な基準が追加されるということで、なかなかインパクトのある制度変更といえます。

英語の記事はこちら

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投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。

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