登録支援機関は「生活支援」から「キャリア形成支援」へ
特定技能制度において、登録支援機関の役割は転換期を迎えている。これまでの中心業務は、特定技能1号外国人に対する生活オリエンテーション、相談対応、定期面談などの法定支援であった。しかし、外国人材の長期的な定着と成長を考えるならば、今後は「特定技能2号取得支援」を登録支援機関の主力業務の一つとして位置付けるべきではないだろうか。
特定技能2号には、在留期間の通算上限がなく、要件を満たせば家族の帯同も認められる。外国人本人にとっては日本での長期的な生活設計につながり、受入れ企業にとっては経験豊富な人材を継続雇用する道が開かれる。登録支援機関にとっても、外国人と企業の双方に継続的な価値を提供する新しい事業領域となる。
外食業の特定技能2号取得には何が必要なのか
外食業分野における特定技能2号への移行では、主に三つの要件が重要となる。第一に「外食業特定技能2号評価試験」の合格、第二に日本語能力試験(JLPT)N3以上の合格、第三に2年以上の「指導等実務経験」である。もちろん、実際の在留資格変更には、受入れ機関や雇用契約などについても所定の基準を満たす必要がある。
このうち、試験のための学習機会は外部サービスを活用することができる。しかし、2年間の指導等実務経験は、実際の職場で形成しなければならない。したがって、2号取得支援の成否は、学習支援と職場でのキャリア形成をいかに組み合わせるかにかかっている。
2年間の「指導等実務経験」は、計画的に形成できる
農林水産省の制度では、指導等実務経験として、食品衛生法に基づく営業許可を受けた飲食店において、複数のアルバイト従業員や特定技能外国人等を指導・監督しながら、接客を含む作業に従事し、店舗管理を補助する者としての実務経験が求められる。副店長やサブマネージャーなどが典型例である。
ここで注目したいのは、指導・監督する対象者について、2名以上であれば国籍、在留資格、職責等を問わず、また、シフトの都合などにより常時2名以上が勤務する体制でなくても差し支えないとされている点である。
これは、必ずしも大規模な飲食店でなければ2号取得に必要な経験を積ませられない、ということではないことを意味する。例えば、曜日ごとに勤務するアルバイト従業員が異なる小規模店舗でも、対象外国人が実際に複数の従業員を指導・監督し、接客や店舗管理の補助を担当する体制を整えれば、要件を満たす可能性がある。
ただし、重要なのは勤務人数や役職名だけではない。形式的に「副店長」と呼ぶことや、単にアルバイトを配置することだけでは足りない。実際に指導・監督と店舗管理補助を行っていることが必要であり、具体的な職務内容やシフト設計については、必要に応じて所管機関に確認することが望ましい。
実務経験証明書はシンプル。しかし、経験の裏付けが重要である
外食業特定技能2号評価試験の受験には、企業による実務経験の証明が必要である。試験実施機関であるOTAFFでは、企業マイページを通じて受験者登録を行う仕組みとなっている。登録支援機関等による手続代行は可能であるが、企業による登録・証明が基本となる。
農林水産省の外食業特定技能評価試験実施要領には、実務経験証明書の様式が示されている。証明書自体が比較的簡潔であることは、企業側の事務負担を軽減する仕組みと考えられる。
しかし、証明書が簡潔だからといって、経験を自由に認定できるわけではない。実際の職務内容、指導対象者、勤務期間などを日頃から記録し、事実に基づいて証明できる状態にしておくことが重要である。
登録支援機関が受入れ企業に対し、2号取得を見据えた職務設計、経験記録、証明書作成の準備を支援することには、大きな実務的価値がある。
マイクロラーニング――1日5分の積み重ねを2年間の成長につなげる
もう一つの柱が学習支援である。外食業特定技能2号評価試験では、衛生管理、調理、接客、店舗管理、店舗経営など、現場の判断力を含む幅広い知識が問われる。また、JLPT N3以上の日本語能力も必要となる。
しかし、飲食店で働く外国人にとって、長時間の学習時間を毎日確保することは容易ではない。勤務時間が不規則であり、仕事と生活の両立にも負担がある。そこで当事務所が推奨するのが「マイクロラーニング」である。
マイクロラーニングとは、学習内容を短い単位に分け、日常生活の中で繰り返し学ぶ方法である。例えば、1日5分の動画を視聴し、関連する問題に取り組む。これを毎日続けることで、学習を特別な行事ではなく、日常の習慣に変えていく。
5分の学習を年間365日続ければ約30時間、2年間では約61時間となる。これだけで試験合格が保証されるわけではないが、知識の定着を支える学習習慣としては大きな意味がある。まとまった学習や模擬試験と組み合わせることで、さらに効果が期待できる。
特に重要なのは、学習内容を日々の実務経験と結び付けることである。店舗で新人を指導した日に、指導方法に関する動画を見る。衛生管理を担当した日に、食品安全に関する問題を解く。学習と仕事が相互に補強し合う仕組みを作ることができる。
動画学習サイト「streamo.jp」で継続学習を支える
にしやま行政書士事務所が推奨する動画学習サイトstreamo.jpは、外国人向けの日本語学習や特定技能評価試験対策を、短時間の動画を通じて継続できるマイクロラーニングのためのプラットフォームである。
特定技能2号取得を目指す外国人に向けて、JLPT N3対策や外食業分野の評価試験対策を日々の学習に取り入れることを想定している。スマートフォンなどから短時間で学ぶことができるため、勤務前後や休憩時間など、それぞれの生活に合わせて学習を進めやすい。
また、視聴時間を利用者ごとに把握できる仕組みは、登録支援機関による継続学習の支援にも活用できる。学習が途切れている場合には声をかけ、進捗に応じて学習方法を見直す。単に教材を配布するのではなく、学習を続けられる環境を作ることが重要である。
動画学習サイト:https://www.streamo.jp/
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登録支援機関向けITサービスで支援業務を効率化する
2号取得支援を継続的な事業として提供するには、学習支援だけでなく、外国人ごとの進捗管理、企業との情報共有、各種書類の準備など、日常的な事務作業を効率化することも欠かせない。
にしやま行政書士事務所では、登録支援機関向けにITを活用した業務支援サービスを提供している。ngj.infoでは、特定技能に関する各種テンプレート、電子契約、在留申請関連業務を支援する仕組みなどを案内している。
こうしたIT基盤を活用することで、登録支援機関は定型的な事務作業の負担を抑えながら、外国人本人への学習支援や受入れ企業へのキャリア形成支援など、より付加価値の高い業務に時間を振り向けることができる。
なお、2号取得に必要な実務経験の管理については、受入れ企業が一次的な記録と証明の責任を担い、登録支援機関がその記録方法や進捗確認を支援するという役割分担が現実的である。
登録支援機関向けIT支援サービス:https://www.ngj.info/
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2号取得支援を登録支援機関の新しい事業モデルに
特定技能1号の支援業務は制度上の義務として位置付けられている。一方、2号取得に向けた学習やキャリア形成の支援は、受入れ企業と外国人本人のニーズに応じて提供できる付加価値サービスである。
例えば、登録支援機関が受入れ企業に対して2年間の育成計画を提案し、対象外国人には毎日のマイクロラーニングを提供する。定期的に学習進捗と指導等実務経験を確認し、必要な時期に評価試験の受験手続を支援する。こうした一貫したサービスは、企業にとっても外国人本人にとっても有益である。
重要なのは、2号取得支援を「試験に合格させるためのサービス」にとどめないことである。外国人が職場で指導する立場へと成長し、企業がその能力を正当に評価し、長期的な雇用につなげる。その過程を支えることこそ、本来のキャリア形成支援である。
外国人の成長と企業の発展をつなぐ支援へ
当事務所が提唱する「均衡共生モデル」では、外国人、受入れ企業、支援機関、行政がそれぞれの役割と責任を果たし、相互の利益を持続可能な形で実現することを重視している。
特定技能2号取得支援は、その考え方を具体化する取組の一つである。外国人には学習と昇進の機会を、企業には人材育成と定着の仕組みを、登録支援機関には継続的な専門サービスを提供する。そして、実際の能力形成と適正な証明によって制度の信頼性を守る。
登録支援機関の将来は、支援業務の件数を増やすことだけにあるのではない。外国人が日本で成長し、次の在留資格へ進む道筋を、企業とともに作ることにある。
にしやま行政書士事務所は、streamo.jpによるマイクロラーニングと、ngj.infoによるIT支援を通じて、登録支援機関が新しい役割を担うための環境づくりを進めていく。
特定技能2号取得支援を、登録支援機関の次の主力業務へ。



