本稿では、銀行のサービスサイトを起点とし、在留期間更新許可申請をAPIで完結させるシンプルなモデルを提示する。
従来の在留手続は、外国人本人が申請主体となり、多数の書類を準備・提出する必要があった。しかし本モデルでは、その大部分が銀行のサービスインフラに内包される。
フローの概要
本モデルは、極めて簡潔な3ステップで構成される。

まず、外国人が銀行のサービスサイト上で更新リクエストを行う。
次に、銀行がAPIを通じて入管へ在留期間更新許可申請を実行する。
最後に、入管から外国人本人へ審査完了通知が送付される。
この構造により、在留手続は「個別の行政手続」から「生活インフラの一部」へと変化する。
外国人にとってのメリット
本モデルの最大の価値は、手続負担の大幅な削減にある。
従来必要であった申請書の作成や添付書類の収集といった作業は不要となり、銀行サイト上でのリクエストのみでほぼ手続が完結する。
さらに、在留期限の3か月前から銀行のサービスサイトが更新リマインドメールを送信する仕組みを導入することで、更新忘れのリスクも解消される。
結果として、在留手続は「意識して行うもの」から「自然に維持されるもの」へと変わる。
銀行にとってのメリット
銀行にとっての最大のメリットは、外国人顧客の獲得である。
在留手続という生活上の必須機能をサービスとして提供することで、銀行は単なる金融機関ではなく、外国人の生活基盤を支えるプラットフォームとなる。
これは、口座開設の動機を強く生み出し、長期的な顧客囲い込みにもつながる。
ポイント①:対象ケースの明確化
本モデルは、最も典型的なケースである
「技術・人文知識・国際業務」
かつ
「転職を伴わない在留期間更新」
を前提としている。
転職や在留資格変更を伴う場合には、個別事情の精査が必要となるため、行政書士を組み込んだ別フローが必要となる。これについては別回で扱う予定である。
ポイント②:法定調書合計表を軸とした営業戦略
本ケースにおいて重要な提出資料が
「前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」
である。
この書類は雇用主しか用意できないという点が、ビジネス設計の鍵となる。
銀行は個人ではなく、「外国人職員を雇用する企業」を主要な営業対象とすべきである。企業単位で給与口座を一括開設し、毎年、法定調書合計表の写しを銀行に提供してもらう仕組みを構築する。
これにより、在留期間更新時に外国人本人が準備する書類は、顔写真のみへと極小化される。
在留カードやパスポートの情報は、事前に銀行のサービスサイト上に保存され、ユーザーによるアップロードで対応する。将来的には在留カードのマイナンバーカード統合により、読み取りアプリ経由での自動取得も想定される。
結論:在留手続のインフラ化
本モデルの本質は、在留手続のインフラ化にある。
銀行という既存の社会インフラに在留制度を組み込むことで、外国人の生活の安定性は大きく向上する。同時に、企業・金融機関・行政が接続された新たなエコシステムが形成される。
これは、Immigration RegTechの中核となるユースケースであり、日本社会における外国人受入れの実務を大きく変える可能性を持つ。
在留申請手続きAPIサービス事業者である㈱西山知材とそのサービスユーザーであるにしやま行政書士事務所は、このような仕組を実現するためのノウハウを持っています。