こんにちは。今日は「権威主義に適合する文書はEU移民に対する英国の態度を変える(Nature)」からの示唆で記載した、「日本人の価値観」について、少し掘り下げて考えてみたいと思います。
私たち日本人は普段、自分たちがどんな価値観を持っているのかをあまり意識しないかもしれません。でも、外国の人と接したり、移民や多文化共生の話題になると、「ああ、自分たちはこんな考え方を大事にしているんだな」と気づくことがあります。
ここでは、日本人が大切にしてきた価値観をいくつかの視点から整理しながら、これからの社会でどう活かしていけるかを考えてみます。
1. 「和」を大切にする心
まず、一番よく言われるのが「和を重んじる」ことです。
古くから「和を以て貴しとなす」という言葉があるように、日本人は人との衝突をできるだけ避け、協調を優先してきました。
会社での会議や地域活動でも、強い自己主張より「みんなで合意すること」が大切にされます。この姿勢は秩序を守るうえでとても役立っていますが、同時に「ちょっと違う考え方の人」に対して慎重になる面もあるのです。
2. 真面目さと努力を尊ぶ文化
次に、日本人といえば「勤勉で真面目」というイメージがありますよね。
戦後の経済成長を支えたのは、長時間でも真面目に働き続ける人々の存在でした。
「努力そのものに価値がある」という考え方が根付いているため、責任感を持って取り組む人が高く評価されます。外国の人が日本で信頼を得るには、この「誠実さ」を行動で示すことが大切になるのだと思います。
3. みんなで支え合う共同体意識
日本の文化には「共同体の一員としての責任感」が深く刻まれています。
村社会の歴史がそうさせてきたのでしょう。お祭りや地域行事、会社の飲み会も「義務感」と結びついていることがあります。
この結束力は強みでもありますが、「外から来た人」を受け入れるハードルにもなり得ます。だからこそ、移民や外国人が自然に地域に溶け込める仕組みを作ることが重要です。
4. 伝統を守りながら新しいものも取り入れる
日本の面白いところは、「古いものを大切にしつつ、新しいものを柔軟に受け入れる」点です。
茶道や神社の行事といった伝統を守りながら、最新のテクノロジーや海外文化も積極的に取り入れています。
このバランス感覚があるからこそ、異文化を受け入れるときにも「調和の中で活かす」ことが可能になるのではないでしょうか。
5. 安全・安心を何よりも重視する
地震や台風など自然災害が多い日本では、「安全・安心」がとても大事にされます。
災害時に人々が整然と避難し、助け合う姿は海外からも驚かれるほどです。
その分、新しい人や文化を迎え入れるときにも「社会の安定が保てるか」という視点で見られやすい傾向があります。ここを意識して「安心して共に暮らせる環境づくり」を考えることが必要です。
6. 価値観は少しずつ変化している
とはいえ、日本人の価値観も時代とともに変わりつつあります。
特に若い世代は、SNSや留学を通じて多様な価値観に触れ、個人の自由や多様性を尊重する意識が強まっています。
昔ながらの「みんなと同じでなければならない」という価値観から、「自分らしさを大切にする」方向へとシフトしているのです。この変化は、多文化共生社会にとって追い風になるでしょう。
7. これからの共生社会へ
こうして見てくると、日本人の価値観には「良さ」と「課題」が両方あります。
大切なのは、伝統的な価値観を大事にしつつ、新しい価値観を取り入れる柔軟さを持つこと。
移民や外国の人が安心して暮らせる社会をつくるためには、日本人自身が自分たちの価値観を見つめ直し、その上で「一緒に新しい文化を育てる」という姿勢が必要なのではないでしょうか。
おわりに
日本人の価値観は一見「閉じている」ように見えることもありますが、歴史的には常に外来文化を受け入れて発展してきました。
調和を大切にし、安全な社会を維持したいという思いは、実は多文化共生とも矛盾しないはずです。
その価値観を活かしながら、多様性を力に変えていくことこそ、これからの日本に求められている姿だと思います。