https://www.moneypost.jp/1310955/2/ によれば、日本人の人口が急減する中、外国人人口は急増しており、現在は総人口の約3%だが、今の年間「35万人増」ペースが続けば2045年には外国人比率が1割を超え、2060年代には「5人に1人が外国人」となる可能性がある。将来的には外国人が日本人を数で上回るとの試算もある。とのこと。 先進国における、自国民と定住外国人の割合を示し、各国の入管政策の特長について考察します。

以下では、「定住外国人」を各国横断で比較しやすい“外国出生(foreign-born)人口の割合”を中心指標として用い、必要に応じて「外国籍」や「在留外国人」の値も補います(国ごとに統計の定義が異なるため、数値の差はこの点も反映しています)。

日本の現状と射程

日本は在留外国人が2024年末で約376.9万人、総人口比で約3%。近年は年間30~40万人規模の純増が続き、人口オーナスを補う担い手として存在感が急速に増しています。制度面では「特定技能(SSW)」や技能実習の再編など、労働受入れの“選択と集中”を強める一方で、国全体の移民政策はなお過渡期にあります。 Nippon外務省ssw.go.jp

北米:恒常的な受け入れ国家

米国の外国出生人口は2022年で13.9%。家族呼寄せを主軸に、雇用ベースや難民受入れを組み合わせる層構造で、規模の大きさが特徴です。カナダは2021年で23%と先進国でも高位。連邦政府はポイント制と年間受入れ目標で需給を調整し、2025年以降も経済移民比率を6割前後に維持する方針です。北米は「永住前提・家族統合重視(米)」と「ポイント制で計画的拡大(加)」という対照が鮮明です。 Census.govwww12.statcan.gc.caカナダ政府+1

オセアニア:最も“移民濃度”が高い先進圏

豪州は2024年時点で外国出生比31.5%と突出。恒久移民の年間計画は24/25年度で18.5万人(技能:家族=約7:3)。不足職種を素早く埋める運用と、英語力・職歴などのポイント制が中核です。ニュージーランドも同系統ですが、本回答では豪州を代表例として示しました。 Australian Bureau of Statistics+1Immigration and citizenship Website

欧州西側:高比率だが受入れの〈質〉を再設計中

ドイツの外国出生比は2023年で18.2%。技能移民法(2023改正)によりEUブルーカード拡充に加え、求職目的で最長1年滞在できる「チャンスカード(Chancenkarte)」を新設し、スキル点と実務経験の柔軟な評価で裾野を広げました。フランスは2023年時点で移民(外国出生)10.7%。2024年施行の移民法は、人手不足職種での一時的正規化など「選択的受入れ」と秩序回復の両立を志向します。英国は21/22年で外国出生16%。Brexit後はポイント制へ全面転換しましたが、23年~24年にかけて純移動が過去最高水準となり、24年末~25年にかけて技能ビザの賃金要件引き上げなどの引締めを進めています。 OECDMake It In GermanyChancenkarteLe Monde.frentreprendre.service-public.frMigration ObservatoryHouse of Commons Library国立統計局GOV.UK+1

欧州小国・北欧:高い受入れ比率と政策転換

スイスは「外国籍」比で約27%に達し、欧州随一の“外生度”を示します。EU/EFTAとは人の自由移動協定で原則自由化しつつ、非EU枠は割当(クオータ)を維持。人口増の主因を移民が担い、政治的論点も大きいのが実情です。スウェーデンは外国出生が概ね2割前後と高く、2015年以降の難民受入れで多文化化が進む一方、22年以降は庇護・家族再統合の厳格化や市民権取得要件の強化など、統合重視へ舵を切りました。 Reuters+1sem.admin.chfragomen.comStatistikmyndigheten SCB

東アジアの先進国:急速な少子高齢化と選択的受入れ

韓国は外国人住民が2024~25年に総人口の約5%を突破。就労・結婚移民・在外同胞を柱に、統合支援や地域多文化教育を拡充しつつありますが、労働者保護や差別禁止の制度整備はなお課題です。日本と同様、出生率低下を受けて「限定的だが確実に拡大する受入れ」と「社会受容の醸成」を同時並行で求められています。 コリアヘラルドAsia News Networkガーディアン

比率の概観(代表値・最新年)

・豪州:31.5%(外国出生、2024)
・カナダ:23.0%(外国出生、2021)
・独:18.2%(外国出生、2023)
・英:16%(外国出生、2021/22。E&W推計で23年に約18%)
・仏:10.7%(移民:外国出生、2023)
・米:13.9%(外国出生、2022)
・瑞:外国籍約27%(2023、外国出生も高位)
・日:約3%(在留外国人、2024末)
・韓:約5%(外国籍住民、2024/25)
(注:外国出生外国籍は別概念。欧州は前者、日韓は後者が公的統計で前面に出る傾向があり、数値は単純比較に注意。) Australian Bureau of Statisticswww12.statcan.gc.caOECDMigration ObservatoryHouse of Commons LibraryLe Monde.frCensus.govReutersNipponコリアヘラルド

入管・受入れ制度の対比(要点)

  1. 選抜型・計画主義(カナダ/豪州/独)
     需要連動のポイント制や職種リスト、年間計画で“質と量”をコントロール。短期は就労・学業で流動性、長期は永住化ルートを整備することで、社会統合の見通しを立てやすい。独のチャンスカードは「内外人材の掘り起こし」の新機軸です。 Immigration and citizenship WebsiteMake It In Germany
  2. 家族統合重視+多層制度(米)
     家族呼寄せを基幹に、雇用・抽選・難民など多層で吸収。統合は地方政府・コミュニティの裁量も大きく、分散的に機能。 Census.gov
  3. 欧州の再設計(英・仏・瑞など)
     人手不足と庇護対応を両立させながら、言語・賃金・職種要件の見直しや、難民認定の厳格化、家族再統合の条件付けを進める潮流。自由移動を活かすスイスも、非EUにはクオータで機動的にブレーキをかける二層構造です。 GOV.UK+1entreprendre.service-public.frsem.admin.chfragomen.com
  4. 東アジアの“限定開国”(日・韓)
     技能・特定分野に絞った就労受入れを拡大しつつ、恒久的な移民国家モデルには慎重。労働需要の逼迫が続く中、受入れ規模と統合政策(教育・住宅・社会保障・差別禁止など)をどう同期させるかが最大の論点です。 外務省ssw.go.jpガーディアン

示唆:日本の将来設計

測る指標を統一する—国際比較には「外国出生比」の整備が有効。国内では在留資格ベースだけでなく、帰化者や二世を含む定住の実態を可視化すべき。
“入口”と“出口”の同時設計—不足職種の即応(特定技能の拡充や職種の見直し)と、永住・家族統合・地域定着の明確なルートをセットで設計。先行国はこの二段構えが標準です。 Make It In GermanyImmigration and citizenship Website
統合への投資—言語教育、資格互換、住宅・学齢児支援、差別禁止と労働者保護(監理型から直接雇用監督へ)が、人口減少下の“持続的な補完”には不可欠。欧州の反省(急増→統合遅れ→政治反動)を踏まえ、段階的かつデータ駆動で規模調整を行う。 国立統計局Reuters

結語

先進国の経験は、「量の拡大」そのものよりも受入れの設計思想(対象・速度・統合の質)が社会の安定と経済効果を左右することを示しています。日本が長期的に外国人比率を引上げるなら、豪州・加・独の“選抜×統合”モデルと、欧州の制度再設計の教訓、そして韓国の教育・地域支援の試行を併せ鏡にしつつ、透明な目標とKPIで合意形成を図ることが肝要です。

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投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。