ベトナム人ら技能実習生逃亡、留学除籍、偽装結婚…令和6年の在留資格取り消し1184件 (2025/3/27 産経新聞) の記事を以下に要約します。
令和6年に外国人の在留資格が取り消された件数は1184件で、前年に比べて56件減少しました。取り消し理由で最も多かったのは、技能実習生が失踪したり、留学生が学校を除籍された後に国内に不法に残留していたケースで、全体の64%にあたる761件を占めました。その他、留学生が除籍後にアルバイトをしたり、技能実習生が他の会社で働いたケースが303件あり、日本人と偽装結婚して「日本人の配偶者等」の在留資格を得ようとするケースも72件ありました。
国別では、ベトナムが784件で最も多く、次いで中国が109件、ネパールが60件、インドネシアが49件、カンボジアとスリランカがそれぞれ33件、ウズベキスタンが32件となっています。また、在留資格別では、「技能実習」が710件と最も多く、次いで「留学」312件、「技術・人文知識・国際業務(技人国)」が69件でした。
在留資格取消事由
日本における在留資格の管理は、出入国管理及び難民認定法(以下「出入国管理法」)に基づいており、外国人が日本に滞在する際には、適切な在留資格を保持する必要があります。これにより、在留資格を保持する外国人が日本に滞在する正当性が保障されます。しかし、一定の事由に該当すると、在留資格が取り消されることがあります。在留資格の取消しは、出入国管理当局によって行われ、外国人の滞在の適法性を確保するために必要な手段として位置づけられています。
ここでは、在留資格取消事由について詳細に説明します。
1. 在留資格取消事由の法的基盤
在留資格の取消しに関する規定は、出入国管理法第50条及び第51条において定められています。具体的には、外国人が在留資格を維持できる状態でない場合、法務大臣がその資格を取り消すことができるとされています。取り消しの理由としては、以下のような事由が考えられます。
2. 不法滞在
最も一般的な在留資格取消事由の1つは、「不法滞在」です。外国人が日本に滞在するためには、適切な在留資格を取得し、条件に従って滞在する必要があります。しかし、在留資格が切れてから滞在を続ける、あるいは在留資格を不正に取得した場合などが該当します。例えば、在留資格の期限を過ぎても滞在し続けることは不法滞在となり、これにより在留資格の取消しを求められることになります。
3. 偽造・不正な書類の提出
外国人が在留資格を得るために偽造した書類を提出した場合も、その在留資格は取消しの対象となります。偽造された文書や虚偽の情報を使って在留資格を取得したことが確認されると、その外国人は不正行為を行ったと見なされます。このような行為は、外国人が日本に滞在する正当性を損なうものとされ、在留資格が取り消される事由となります。
4. 偽装結婚や不正な入国手段
偽装結婚や不正な手段で入国した場合も、在留資格の取消しに繋がります。例えば、外国人が結婚によって在留資格を得たものの、実際には結婚が偽装であった場合や、結婚の条件を満たさない場合は、結婚を基にした在留資格を取り消されることがあります。このような不正行為は、在留資格取得の目的が不適切であるとみなされ、取り消しの理由となります。
5. 在留資格の条件を遵守していない場合
在留資格にはそれぞれ条件が設定されています。例えば、就労ビザで日本に滞在している外国人が、その業務内容を変更したり、定められた職種以外で働いた場合には、在留資格を取り消されることがあります。また、留学生の在留資格においては、学業を続けることが前提となっていますが、無断で休学する、または卒業要件を満たさない場合も、資格取消しの対象となります。つまり、在留資格に付帯する義務を怠った場合、それが在留資格取消しの事由となります。
6. 入国管理法違反行為
入国管理法違反行為を行った場合、在留資格が取り消されることもあります。例えば、外国人が許可されていない方法で日本に入国したり、滞在中に違法な活動を行った場合、その行為自体が取り消しの理由となり得ます。特に、刑事犯罪に関与した場合、犯罪の内容やその悪質さに応じて、在留資格が取り消されることがあります。
7. 健康・安全面の理由
一部の場合、外国人の健康や安全面で問題がある場合にも在留資格が取り消されることがあります。例えば、伝染病や感染症を広めるリスクがある場合、入国管理局はその外国人の在留資格を取り消すことがあります。また、その外国人が日本に滞在することによって公共の安全が脅かされる場合(例えば、暴力団との関わりが判明した場合など)にも、在留資格が取り消されることがあるのです。
8. 公共の秩序を乱す行為
外国人が日本に滞在中に公共の秩序を乱す行為をした場合、その行為の内容によっては在留資格を取り消されることがあります。例えば、暴力行為や器物損壊、公共の秩序を害するような行動が確認された場合、それが取り消しの事由となります。
9. 罰金・刑事罰を受けた場合
外国人が日本国内で刑事事件を起こし、刑罰を受けた場合、その事実が在留資格取消しに繋がることがあります。特に刑事罰が重い場合や、再犯の可能性が高い場合、法務大臣はその外国人の在留資格を取り消すことができます。また、罰金刑や拘留刑の場合も、その程度に応じて在留資格が取り消されることがあります。
10. 在留資格を必要としない場合
例えば、外国人が既に日本での活動を終了した場合や、他国に帰国した場合、もしくは在留資格を保持する理由がなくなった場合、在留資格の取消しが行われることがあります。この場合、外国人自身が帰国する意向を示したり、就労先がなくなった場合に取り消しが行われます。
まとめ
在留資格取消しの事由は多岐にわたりますが、基本的にはその外国人が法的に適正な方法で日本に滞在していない場合に該当します。これには、不法滞在や偽造書類、不正な手段での入国、在留資格の条件違反などが含まれ、すべての事由に共通して、外国人の滞在の適法性や日本社会に与える影響が重視されます。
在留資格の取消しは、その外国人の日本における滞在を不適正と認定し、これにより不正滞在者や社会に害を及ぼす可能性のある行為を予防するための重要な手段となっています。