技能実習生に限らず、特定技能外国人が、地方から都市部に流出してしまう問題は、雇用主にとって頭の痛い問題です。技能実習制度に変わる育成就労制度はこのことに対処するため、転籍は認めても、地方から都市部への転籍を6分の1以下に抑える素案が示されています。育成就労外国人、転籍受け入れに上限 都市部集中に対策(政府素案)(福祉新聞 2025/2/17)
「福井クラス」の例
そんな中、東洋経済オンラインより、技能実習生の定着図る「福井クラス」の画期的な成果 (2025/3/15)という興味深い記事が出ていますので、下記に要約します。
福井県は、ミャンマーからの介護技能実習生を受け入れるため、「福井クラス」という独自のプログラムを2024年から開始しました。このプログラムは、ミャンマーに住む介護人材に福井の方言や文化を事前に学ばせ、福井県内の介護施設に定着させることを目的としています。福井弁を学ぶことで、ミャンマー人技能実習生は現地でのコミュニケーションがスムーズになり、地域に馴染みやすくなります。福井県はこの取り組みによって、外国人労働者が地域に根付くことを支援しています。吉田新内理事長の「福井に支えられた人生」の思いから始まったこのプロジェクトは、福井県内の介護施設の人材不足解消に貢献しています。全国からも注目されており、吉田理事長の活動は広新のがりつつあります。
真の対策
「福井クラス」については、2024/9/20 FBC福井放送の記事、介護現場の即戦力に ミャンマーから実習生が来日「うらら頑張ります」 “福井クラス”で方言も学ぶ 県は毎年60人のペースで受け入れへ でも紹介されていましたが、都市部への人材流出を防ぐ効果に関する言及はありませんでした。
福祉新聞の記事によれば、「福井クラス」のカリキュラム(全12回)は、以下の3つの要素を基に作成されているとのことです。
- 賃金の高い首都圏と地方の間には賃金格差があり、地方で人材を定着させるには、来日後ではなく来日前に、それぞれの地域に適した人材を見極めることが重要。
- 来日前と来日後のギャップを減らすことも、定着において大きなポイント。
- 来日後は、生活や仕事で新しいことを学ぶ必要があり、多くのストレスを抱える。そのため「その土地の特徴や方言を来日前に学ぶことが重要である」という意見が多く寄せられた。
これぞ、都市部への人材流出を防ぐための真の対策といえるでしょう。