故郷を追われた人「過去最多」なのに 日本の難民認定率が欧米よりケタ違いに少ない理由 (2025-01-25 AERA dot.)の記事を以下に要約します。

日本の難民認定率は低く、2023年にはわずか3.8%で、米国や英国、ドイツと比べて極めて少ない。主な原因として、審査を担当する入管の「管理」視点と、日本独自の「個別把握論」が挙げられる。これにより、難民認定される範囲が狭く、証拠が不十分な場合でも申請者に有利に判断することが求められている国際基準に反することがある。また、ウクライナ侵攻後に日本が避難民を受け入れた際、支援体制が実証されたことから、政治的リーダーシップを発揮し、難民受け入れを進めることが重要だとされています。

人道的見地から庇護を決定される人も

難民認定申請は、日本にいる外国人が、難民条約に定められた難民、或いは補完的保護対象者であることを認定してもらうための手続です。どちらかの認定を受けることができれば、それぞれの証明書が発行されるとともに、在留資格「定住者」等が付与されます。また、どちらの認定を得る事ができなくとも、同手続の中で、人道上の見地から在留が決定されることもあります。

難民認定率と合計庇護認定率

難民認定率は、難民認定申請数÷難民認定された件数で計算され、日本の数値が極端に低いことについて、内外から批判されています。しかし、”人道上の見地から在留が決定された数”を含めて判断する必要があると思います。

これらの数値を示す統計は、出入国在留管理庁のホームページで発表されています。

我が国における難民庇護の状況等 2023年
1)申請数13,823
2)定住難民47
3)条約難民303
4)補完的保護対象者2
5)その他の庇護1,005
6)難民、補完的保護対象
者及びその他の庇護
合計
1,357
A)申請数13,823
B)定住難民47
C)条約難民303
D)補完的保護対象者2
E)その他の庇護1,005
F)難民、補完的保護対象
者及びその他の庇護
合計
1,357

上記から計算した2023年の難民認定率と合計庇護認定率は下記のとおりです。

難民認定率(B+C)/A2.5%
合計庇護認定率 F/A9.8%

グラフで見る認定率

数字は年によって全く異なります。上記の表からはよくわからないので、グラフにしてみました。下記グラフは当事務所のホームページ上で公開しています。

2022年以降、その他庇護(=人道上の見地から在留が決定された数)が多いのは、その殆どがミャンマー情勢によるもの、又2020年~2022年の申請数が少ないのはコロナ禍によるものです。このため、2021年から2023年は異常値を示しているので、2014年から2020年あたりが、我が国の難民認定申請者を保護する”姿勢”の傾向として参考になると思います。

どちらをとっても低い数値を示していることは変わりが無いのですが、我が国の難民認定申請者を保護する”姿勢”を判断する数値としては、難民認定率ではなく、”合計庇護認定率”を見るべきなのだろうと思います。

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投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。