季節に応じて別々の場所で働く、特定技能の新しい雇用形態が注目されています。ここでは2つの新聞記事を紹介します。
新聞記事要約
特定技能の外国人の新たな働き方 夏は「農業」冬は「スキーリゾートのホテル」 人手不足に対応 双方にメリットも (NBS長野放送 2024/12/17)
長野県内で、特定技能の在留資格を持つ外国人が、冬場に農業の仕事がない時期にスキーリゾートのホテルで働く取り組みが始まりました。この取り組みは、外国人とホテル双方にメリットがあります。
外国人スタッフ11人は、夏は農業で働き、冬はホテルでレストラン業務や調理補助を担当します。転職ができないため、従来は冬に一時帰国していましたが、今回の取り組みによってホテル側の人手不足も解消され、外国人スタッフは帰国せずに働き続けられます。
このシステムを実現したのは、外国人就労支援を行う「AIC」で、特定技能を活かして外食業で働くことをサポートしています。今シーズン、白馬村のホテルでもインドネシア人3人が働いており、この取り組みを他地域にも広げる計画です。
「リレー派遣」で人手確保 農繁期、外国人が全国移動 (共同通信 2024/05/02)
農業の人手不足対策として、外国人材を活用した「リレー派遣」が注目されています。この仕組みは、地域や作物ごとに異なる繁忙期に合わせて外国人が数カ月ごとに全国を移動し、収穫作業などを手伝うものです。これにより、農家は繁忙期に必要な人手を確保でき、外国人は通年で働きながら技能を習得することができます。山形県のサクランボ収穫などでの人手不足解消が期待されており、長崎県では2019年から「特定技能」資格を持つ外国人を全国の農家に派遣する取り組みが始まりました。今年3月末時点で183人が雇用され、北海道や長野県にも派遣されています。
記事を読んで
特定技能1号における特定産業分野の中で、派遣形態での就労が認められるのは農業と漁業のみになります。派遣形態の中、派遣元(特定技能所属機関)が同一であっても、派遣先が異なった場所で働く場合は、在留資格変更申請が必要になります。
したがって、前者(農業とホテル)も、後者(農業の中で、北海道と長野県をリレー派遣)も、在留資格変更許可申請を行う必要があります。特定技能の在留申請で添付する資料は膨大(約40種)ですが、いったん最初に揃えてしまえば、2回目以降は比較的楽です。働き場所を変える3か月くらい前くらいから在留資格変更許可申請を行うルーティンなのだろうと思います。
記事にある農業やリゾート地域のホテル業のみならず、漁業や豪雪地帯の建設業など、こういったスキームは今後益々活用されていくことでしょう。