在留資格の変更は、どんなパターンでも認められるものではなく、原則的に許可が認められていない一定のケースがあります。技能実習からその他就労系在留資格への変更がその一例です。
何故認められないのか
技能実習は、我が国における実習を修了した後、得た知識と経験を母国に還元するという国際貢献が制度の趣旨となっているため、実習が完了したら速やかに帰国することが求められます。特定技能への移行、実習先の事情により転籍を余儀なくされた、或いは日本人と結婚した等の事情が無い限り、在留資格の変更は認められていません。(なお、技能実習は近々廃止され育成就労に変わりますので事情は変わってきます。)
例外的に認められるケース
ただ、審査要領においては、技能実習制度に貢献するための変更である場合は、これを許可するものとみとめており、要件は以下の通りです。(変更しようとする就労系の資格に在留資格該当性がなければならないのは勿論です。)
- 所属機関の事業内容が技能実習生の受け入れに関するものであること
- 技能実習生であるときに修得した技能について、本国からの技能実習生に対して指導を行うようなものであること
- N2相当以上の日本語能力を有すること
- 技能実習生の数からみて、十分な(指導するための)業務量があり、技能実習そのものの活動でないこと
- 現在の技能実習上の到達目標を達成していること
まとめ
現在、上記の方向で在留資格変更申請中の弊事務所のクライアントがいますが、全ての要件を満たしているか微妙な点もあり、不安な点もありながら結果を待っているところです。
技能実習制度から国際貢献という観点が無くなり、母国に帰っても就職先が無いという現実の中、大学卒業等、変更しようとする在留資格の要件を満たしているならば、技能実習生の指導、などという目的に限定しないで、在留資格変更を認めてもいいのではと思っています。
因みに、大卒であれば普通、技能実習でなく、転職の自由など活動の幅が広がる「技術・人文知識・国際業務」を選んでもよさそうなものですが、自ら選んでというよりは、このことを知らずに「技能実習」の在留資格で日本に在留されている方が一定程度いるようです。