新聞記事の解説

ミャンマーから三浦へ、看護助手9人活躍中「完璧な仕事ぶり」も在留は5年 (神奈川新聞 2025/01/06)が、特定技能「介護」の在留期間には5年という期限があることを述べています。

正確には、在留資格「特定技能1号」は通算で5年の在留期間が設定されており、この期間を超えて在留するには「特定技能2号」の在留資格を取得する必要があるが、「特定技能2号」を取得できる対象分野から、「介護」のみが除外されている、ということになります。

特定技能2号の対象分野に何故「介護」が含まれていないのか

従来、特定技能2号については、特定技能1号の12の特定産業分野のうち、建設分野及び造船・舶用工業分野の一部のみがその対象となっていましたが、令和5年6月9日、閣議決定により、「介護」を除く11の特定産業分野において受入が可能となりました。(特定産業分野の数は令和5年当時)

そして、介護分野については、現行の専門的・技術的分野の在留資格「介護」があることから、特定技能2号の対象分野とされていません。

ビルクリーニング工業製品製造業
建設造船・舶用工業
自動車整備航空
宿泊農業
漁業飲食料品製造業
外食業
特定技能2号の対象分野

在留資格「介護」を取得するルートとは

在留資格「介護」の下、行うことができる活動は、「本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動」です。

従って、在留資格「介護」の在留資格を取得するためには、以下に述べるルートの何れかを選択し、国家資格たる介護福祉士の試験に合格する必要があります。

  • EPA(経済連携協定)(インドネシア・フィリピン・ベトナム)- 介護福祉士候補者として入国(在留資格は「特定活動」)
    • 就学コース(介護福祉士養成施設(専門学校))
    • 就労コース(介護施設等で就労・研修)
  • 養成施設ルート(介護福祉士養成施設(専門学校)で就学・実習)(在留資格は「留学」)
  • 技能実習ルート(介護施設等で実習(在留資格は「技能実習」)
  • 特定技能ルート(介護施設等で就労(在留資格は「特定技能1号」

外国人介護福祉士を増やすにあたっての課題

厚生労働省が公表した「第36回(令和5年度)介護福祉士国家試験結果」によれば、経済連携協定(EPA)に基づく外国人介護福祉士候補者の合格者は228名(合格率43.8%)であったとのことです。全受験者の合格率が82.8%ということ、また、EPA以外のルート(記述の技能実習、特定技能等)については公表値が無いため、外国人にとっては難関であることは間違いありません。

ところで、政府は、介護福祉士の国家試験のルールを見直し、2025年度より「パート合格」を導入する方針を決定しました。 現在の試験科目である全13科目を3分野に分割し、初回の受験で全科目に合格できなかった場合、2回目の受験以降は不合格の科目のみを受験できる仕組みです。この背景には通算5年という「特定技能」の在留期間で、国家試験に合格することの難しさがあったこともあるようです。

  • 介護福祉士国家試験パート合格の導入の在り方について(厚生労働省)
    • 「特定技能介護」は在留期間中に介護福祉士の資格を取得することで、「在留資格介護」に変更し、引き続き日本で介護の業務に従事することができるが、国家試験のための専門的な学習に加え、日本語学習も同時に必要であるため、限られた時間のなかで受験への意欲を維持し学習を進めて行くことが難しいという課題がある。

まとめ

ニュース記事を通して外国人介護人材の活躍を目にする機会が増えてきました。まだまだ、特定技能1号等、あくまで候補者としての在留資格で就労・就学している場面が多いように感じますが、外国人の「介護福祉士」が今後急速に増加していく流れは間違いないのだと思います。

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投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。