記事の要約

不法に中国人男性の“在留期間の更新”をほう助した疑いで中国国籍の男(38)を逮捕 虚偽申請となった男性の在留資格は取り消し (2025/01/16 NST新潟総合テレビ)を以下に要約します。

埼玉県草加市の38歳の中国国籍男性(A)が、知人の中国人男性(B)の在留期間更新申請に虚偽の内容で協力したとして逮捕されました。男性(A)は、実際には会社を経営していない中国人男性(B)に対し、行政書士を通じて会社経営をしていると偽り、資本金ではない500万円を銀行口座に入金し、虚偽の資料を作成して在留期間更新の許可を得る手助けをした疑いがあります。この事件は、男性が昨年逮捕された窃盗事件の余罪捜査中に発覚し、警察は組織的な関与も視野に調査を進めています。(A,Bは私がつけています。)

何が起こったか(想像)

上記要約、また記事本文から詳細不明ですが、おそらく下記のようなことだと思います。

  • Bは在留資格「経営・管理」(4月ー登記がまだできていない人用)で入国した。
  • AがBのX銀行口座に、500万を振り込んだ。
  • BはX銀行が発行した払込証明書を使って登記を行った。
  • Bは、入国後4か月がたった頃、登記簿謄本を使って、在留期間更新許可申請を行い、1年の許可を受けた。
  • ところが、AもしくはBが別件で警察の捜査をうけ、その過程で、(おそらく、会社設立後BからAに即500万を返金した履歴等から)、500万は見せ金であることがわかった。
  • 捜査機関から出入国管理局に連携され、虚偽申告により、在留資格取消手続が開始された。

経営・管理(4月)とは

昔は、これから日本で会社を設立しようとする外国人は、在留資格「短期滞在」で入国、外国人登録を行った上で、その住居地をもって会社の設立登記を行っていました。
ところが、平成24年に外国人登録法が廃止され在留管理制度となると、中長期在留者(3か月以上の滞在者)でないと在留カードが発行されず居住地の基礎が無いため、従来の在留資格では外国人自ら会社の設立登記ができないこととなりました。そこで、このことへの対応策として、在留資格「経営・管理」に在留期間の4月が新たに設けられました。即ち、新会社の登記事項証明書が無くとも、在留資格「経営・管理」(4月)の在留資格認定証明書交付申請が可能となりました。

「見せ金」という抜け道

記事のケースは、別件で操作が入っていたため「見せ金」であることがわかりました。設立時や融資を求める際に、一時的に資本金を多く見せるために、他人から金を借り、登記等の目的を果たした後に金を返すことを、「見せ金」といいます。「見せ金」は違法行為です。

通常、見せ金を発見するタイミングといえば、融資を求められた銀行が不適切な金の流れを発見したとき、今回のように別件で捜査がはいったとき、くらいでしょう。

在留諸審査の場面において、登記簿謄本に記載された資本金が「見せ金」であったかどうかまで調べることはしていないのではないでしょうか。

であるとすると、経営・管理(4月)で入国し、「見せ金」で登記、そして在留期間更新許可を受けて1年更新、トータルとして16か月、表面上は適法に日本に滞在できることになります。

16か月の間、どのような活動を企図されているかはわかりませんが、闇の世界で、抜け道として使われている気がしてなりません。

まとめ

経営・管理(4月)から在留期間更新許可申請があった場合は、登記簿謄本に書かれた資本金の出処について、詳しく精査する必要があると思います。もうされているかもしれませんが、少なくともそのような記述は審査要領に見当たりません。

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投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。