読売新聞の記事(2024/12/28)
SNS求人「経理の仕事しませんか」、実際は警備員…ベトナム人29人単純労働させた容疑 は、不法就労に関与した行政書士の書類送検について報じています。
記事要約
大阪府警は27日、大阪市西成区の警備会社社長(41)と不動産会社社員(28)を、ベトナム人29人に資格外の単純労働をさせたとして、入管難民法違反(不法就労助長)で逮捕しました。2人は、ベトナム人を「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の在留資格で不動産会社に雇用したように装い、実際には警備会社で働かせていたとされています。警備会社では、少なくとも約60人のベトナム人が不法就労していたとされ、府警は虚偽申請に関与した行政書士(46)も書類送検しています。
問われる罪
行政書士が営利目的で虚偽申請を行い、不法就労につながる行為を助けた場合に、問われる可能性のある罪について述べます。
1. 不法就労助長罪
法的根拠
出入国管理及び難民認定法(入管法)第73条の2。
構成要件
以下のいずれかの行為を行うことで成立します:
1. 不法就労外国人を自己の事業に使用すること。
2. 不法就労外国人を他人の事業に斡旋すること。
3. 不法就労外国人が不法就労活動を行うことを幇助(助ける)すること。
「不法就労」とは、以下のいずれかに該当する外国人の労働活動を指します:
• 在留資格を持たない外国人の労働。
• 在留資格の範囲を超える活動としての労働(資格外活動)。
罰則
• 3年以下の懲役または300万円以下の罰金。
• またはその併科。
ポイント
• 不法就労を知りながら行為を行うことが必要です。
• 悪質な場合や営利目的での関与は重く処罰されます。
2. 営利目的在留資格不正取得助長罪
法的根拠
出入国管理及び難民認定法(入管法)第74条の6。
構成要件
以下のいずれかの行為を、営利目的で行った場合に成立します:
1. 虚偽の書類を作成して在留資格の申請を行うこと。
2. 他人の在留資格の不正取得を幇助すること。
「虚偽の申請」とは、実際には在留資格の条件を満たしていないにもかかわらず、虚偽の情報を基に資格を取得させる行為を指します。
罰則
• 3年以下の懲役または300万円以下の罰金。
• またはその併科。
ポイント
• 「営利目的」が成立の要件です。
• 行政書士など、専門家の立場で行われた場合、特に社会的責任が重視されます。
両者の共通点と相違点
不法就労助長罪 | 営利目的在留資格不正取得助長罪 | |
対象行為 | 不法就労を助ける行為 | 在留資格の不正取得を助ける行為 |
目的 | 不法就労の助長 | 在留資格不正取得(営利目的) |
営利目的の必要性 | 必要なし | 必須 |
法的根拠 | 入管法第73条の2 | 入管法第74条の6 |
罰則 | 3年以下の懲役または300万円以下の罰金 | 3年以下の懲役または300万円以下の罰金 |
社会的影響 | 労働市場の秩序破壊、外国人の権利侵害 | 入国管理体制の破壊、国際的信用低下 |
これらの罪は、外国人の不正就労や不正な在留資格取得を防ぐための重要な規定であり、特に専門職(例: 行政書士)が関与した場合、悪質性が高いとみなされるため、厳しい処罰が科されます。