2024/12/12 神戸新聞の記事によれば、全国のドラッグストアで医薬品など万引疑い 技能実習の勤務先から逃亡の男女逮捕、1760万円の被害確認 とのこと。
技能実習生はなぜ失踪するのか
日本における外国人労働者の受け入れ制度の一つとして、技能実習制度があります。この制度は、発展途上国の人々に日本で技術や知識を学ばせ、その技術を自国で活かしてもらうことを目的として設立されました。しかし、近年この制度にはさまざまな問題点が浮き彫りになっており、特に「失踪」という現象が深刻化しています。技能実習生がなぜ失踪するのか、その背景には多くの要因があります。本稿では、技能実習生が失踪する原因を詳細に述べ、解決策について考察します。
1. 技能実習生の背景と制度の目的
技能実習制度は1993年に創設され、外国人労働者が日本で技術を学び、その後、自国に帰国して学んだ技能を活かすことを目的としていました。しかし、実際には日本の企業が労働力不足を補うための手段として利用するケースが多く、労働条件が厳しくなることがあります。実習生は低賃金で過酷な労働環境で働くことがあり、その不満が失踪という形で表れることが少なくありません。
2. 失踪の実態と統計
技能実習生の失踪者数は年々増加しています。例えば、2019年の時点で約7,000人の失踪者が報告されています。失踪する理由は一つではなく、労働条件や生活環境の問題、さらには制度自体の不備が影響しています。失踪した実習生の多くは、労働環境や待遇に不満を抱え、最終的には失踪という形で自らの問題を解決しようとする場合が多いです。また、失踪する実習生を管理する監理団体や受け入れ企業の管理が不十分なことも、失踪を助長する要因となっています。
3. 失踪の原因
技能実習生が失踪する理由は複数ありますが、主な原因として以下の要素が挙げられます。
(1) 過酷な労働環境と低賃金
技能実習生が直面する最も大きな問題の一つは、過酷な労働環境です。特に農業、製造業、建設業などの現場では、長時間労働や休憩時間の不足、休日が与えられないことが多く、身体的・精神的な負担が大きくなります。また、賃金が契約通りに支払われない場合や、最低賃金を下回る賃金で働かされることもあります。こうした労働環境に不満を抱える実習生が失踪するケースが増えているのです。
(2) 生活環境と待遇の違い
日本に来る際、実習生は生活や働き方に対する一定の期待を持っていることが多いですが、実際には生活環境に大きなギャップがあることがしばしばあります。宿舎が劣悪だったり、食事や生活費が十分でない場合、精神的に追い詰められることがあります。また、実習生は休暇を取ることができなかったり、自由時間が限られていたりすることもあり、これが失踪に繋がる要因となることがあります。
(3) 法的権利の不足と管理体制の不備
実習生は日本語が不自由で、法律や権利について十分に理解していない場合が多いです。日本での生活に関する情報やサポートが不足しているため、実習生は自分の権利を守る手段が限られています。また、監理団体や受け入れ企業が実習生に対して適切なサポートを提供していない場合もあり、このような状況が実習生の不満を高め、最終的に失踪という行動に繋がることがあります。
(4) 経済的な動機
実習生の多くは、家族への送金や自国での生活改善を目的として来日しています。しかし、日本での生活が予想以上に厳しく、賃金が未払いになったり、生活費が足りなくなったりすると、経済的に困窮することになります。こうした状況が続くと、実習生は不法就労を選択することがあり、最終的に失踪してしまうことがあります。
(5) 不法就労と犯罪の温床
失踪した実習生の中には、不法就労を選ぶ者も多いです。日本に留まるために違法な手段を取ることがあり、その結果、犯罪行為に巻き込まれることがあります。失踪して不法に働くことで、法的なトラブルに巻き込まれるリスクが高まるだけでなく、犯罪ネットワークに関わる可能性もあります。
4. 失踪を防ぐための方策
技能実習生の失踪問題を解決するためには、いくつかの方策が必要です。まず、実習生が過酷な労働条件に苦しむことがないよう、労働環境の改善が求められます。具体的には、適切な賃金の支払い、労働時間の管理、休息時間や休日の保障などが必要です。
また、実習生が自分の権利を理解し、問題があった場合に適切に対応できるよう、法的支援を強化することも重要です。実習生に対して日本語や法律に関する教育を提供し、必要なサポートが得られるような体制を整えることが求められます。
さらに、監理団体や受け入れ企業の管理体制を強化し、実習生が安心して働ける環境を整備することが不可欠です。企業は、実習生の生活環境や労働環境を適切に管理し、問題があれば迅速に対応できるようにする責任があります。
5. 結論
技能実習生が失踪する背景には、過酷な労働環境、生活環境の違い、法的支援の不足、経済的な困窮などさまざまな要因が絡んでいます。これらの問題を解決するためには、労働条件の改善や法的支援の強化、企業の責任強化が必要です。失踪問題を解決することは、技能実習制度の健全な運営を実現するために重要であり、実習生が安心して働き、学べる環境を提供することが求められています。