申請取次制度とは

在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、或いは在留期間更新許可申請等の在留諸申請は、外国人本人やその代理人(在留資格認定証明書交付申請については雇用主等)が申請するものですが、依頼を受けた行政書士等が申請を行うことができます。

これは、申請取次制度に基づくものであり、出入国在留管理庁によれば以下のように定義されています。

申請等取次制度について

  • 在留期間更新許可申請等の在留諸申請や在留カードの記載事項変更等の手続については、地方出入国在留管理局への本人出頭を原則としている。
  • 本人出頭の原則の例外として、法定代理人などの代理人が申請を行うケースのほか、申請・届出案件の増加による窓口の混雑緩和や申請人・届出人の負担軽減等のため、”一定の者”については、外国人本人の申請等の取次ぎを行うことを可能とする申請等取次制度を定めている。

上記”一定の者”に、我々行政書士が含まれます。

申請人(外国人)に見せたくない資料がある

さて、在留諸申請を行う際、大部分の申請について、申請用紙以外に追加資料を求められます。その中で、特に「技術・人文知識・国際業務」、「技能」等の”就労系”在留資格については、受入機関の”直近年度の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表”や”直近の決算書”の提出が求められます。

給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表

法定調書合計表とは以下のようなもので、1年間で全従業員分の給与総額のうち源泉徴収額を申告するものです。在留諸申請の中で当用紙は、受入機関の実在性を示すとともに、源泉徴収合計額が1000万以上であると、カテゴリー2(1~4)以上の機関として、提出書類の大部分が提出免除になったり、申請人に与えられる在留期間が長期になったりするため、その提出に大変重要な意味があります。

法定調書合計表

法定調書合計表や直近の決算書は申請人に見せたくない

法定調書合計表は直近の決算書(貸借対照表と損益計算書のことです。)は、上場企業のような大会社で無い限り、外部や従業員に公開するものではありません。そのため、就労系資格について在留諸申請を行う場合は、受入機関から我々行政書士に依頼頂くことで、このような書類を申請人(外国人)に見せることなく、申請を行うことができます。

通常、難しく煩雑な業務であるからこそ行政書士を活用する、といった意味合いで、行政書士の国際業務は理解されていますが、実はこうした側面もあるのです。

追記

在留資格認定証明書交付申請の場面では、通常、受入機関(雇用主)が代理人となり書類を準備したり申請を行ったりするので、このような問題はおきません。

一方、在留資格変更許可申請(「変更」)や在留期間更新許可申請(「更新」)においては、受入機関は代理人となることはできず、原則、申請人本人が申請する必要があります。

そもそも「変更」「更新」において、上記書類を必須と位置付けていることが制度上の問題点であるように思います。本来従業員に公開する必要が無い情報を公開しないと従業員の「変更」「更新」ができないことになるからです。

まあ、そのおかげで我々行政書士に仕事が回ってくるのでありがたい話ではあるのですが。。。

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投稿者: kenjin

行政書士の西山健二と申します。 外国人の方々が日本で働き、暮らすために必要な在留資格の各種申請手続を支援します。